平成24 年の新春を迎え新年のご挨拶を申し上げます.
今年のお正月は各家庭,各職場で昨年3 月11 日に発生した東日本大震災そしてその後の復興が話題に上ったのではないかと思います.戦後日本が直面した最大の震災で,しかも疑ってもみなかった原子力発電所からの放射能による直接および間接被害の大きさや,被害に遭うことの不条理・不合理性から,人生観や宗教観まで変えてしまいかねない状況に直面された方もあると聞いております.
復興するために我々個々人は何ができ,また企業はどう行動すれば良いのか.特に先端技術の研究開発に第一線で携わっておられる方々にもいろいろなインパクトを与えたのではないかと思います.
それに加えて昨年の後半から話題になった事柄としては,円高およびそれによる国内生産の空洞化懸念,さらには欧州通貨不安やTPP による国内市場開放問題など不安材料が多く,とても明るい未来を語れるような状況ではなくなりました.
経済状況に関しても,また地震など自然界に起こる事象に対しても,科学技術に携わる我々は日ごろ味わったことのない無力感,虚脱感に襲われる日々を過ごしてきたわけですが,新年を迎えたことを区切りとして新たな気持ちでスタートラインにつくべきであろうと思います.
日本は「ものづくり」ではまだ世界一を誇れるとはいうものの,韓国や中国に追い越されそうな状況に直面しています.産業の空洞化懸念が顕著になるなかで,「ものづくり」だけでも世界一を維持して欲しいものだと思います.
さて,日本セラミックス協会の使命はと考えますと,当然外部の環境変化の影響を受けざるを得ないわけですが,ここは踏ん張って,基礎研究・応用研究ともに力を入れて未来の科学産業に貢献することを目指すべきです.
特に日本は少子化のなかで理系を目指す若者が減り,インドや中国の大学を卒業する理系の学生に数の上で圧倒されることが顕著になっております.120 年の歴史ある日本セラッミクス協会ではありますが,次の10 年,20 年,さらには50 年先を見据えた議論も必要ではないかと感じています.また,これからの世代の人達に,科学の楽しさや可能性をアピールし,希望を持って理系を選択してもらうことも大きなテーマで,かつ難しいテーマだと思います.
本協会におきましても,少子高齢化の影響は例外ではなく,個人会員の高齢化,若年層の協会離れによる会員数の慢性的な減少という問題に直面しており,このまま続けば財政問題のみならず将来の協会活動にも影響が出かねません.そこで,協会としてはWEB によるサービスの向上や,アジア版ジャーナルの発刊などを推し進め協会の存在感を高めることを計画しています.これらを通じてセラミックス協会の活動を広く社会にアピールし,会員の獲得に繋げてもらいたいと思います.
幸い,日本セラッミクス協会は産学が連携した協会で潜在能力は高く,これまでもいろいろな活動で社会に貢献してきておりますが,さらに国際化してその存在を内外に知らしめれば,先ほど述べた諸問題も解決できるものと信じています.
2010 年10 月に本協会は公益社団法人として衣替えをしましたが,その趣旨は何ら変わることはなく,これまで同様各会員の皆様の自主的活動に依拠しています.協会の使命は研究活動の環境づくりをお手伝いすることと,さらには会員の皆様に“場”を提供することと理解しております.新商品,新技術なしでは日本の製造業は生き残れません.皆さんよくご存知のように,セラミックスの分野は幅が広いので大いに期待できる分野です.このことをふまえて協会活動をより盛りたてて,次の10 年・20 年・50 年後に本協会がさらに繁栄している姿を夢見て,年頭の挨拶といたします.
Shuichi SARASAWA(President, The Ceramic Society of Japan) Presidential New Year's Address