ダイバーシティ四季感 ー会員間をリレー形式でつなぐ雑記帳ー

セラミックス誌
2018年7月号掲載
(No.7)

  1960年代の米国では平等を求める黒人による公民権運動の嵐が吹き荒れました.このとき反対派は,人種だけでなく性別による差別をも禁止する条項を加えて反対者を増やし,公民権法案全体の否決を狙ったのですが,法案は可決,結果的に女性は大きな権利を手にしたのでした.すなわち、女性が大統領候補になる米国でさえ、女性が男性と平等の権利を獲得したのはわずか50年前,しかも,それは人種差別撤廃のおまけという棚ぼた的なものだったのです.また,多くの国際機関が立地するスイスは、平和と平等の国のような印象がありますが,実はこの国で女性参政権が完全に認められたのは,なんと1991年のことです.このように男女雇用機会平等の歴史は実はまだ浅いのです.それでも,日本の雇用環境は,女性が結婚とともに離職する寿退社が当然だった30年前とは様変わりしています.私の学生時代に女性の教授を見かけた記憶はほとんどありませんが,今では研究教育の場で多くの女性が活躍しています.道は半ばです.あせることなく,多様性をパワーとする社会に向けて地道に努力していくことこそ重要であると思います.
  次は,鳴瀧彩絵さんにバトンをお渡しします.
 

 (慶應義塾大学 今井 宏明) 

セラミックス誌
2018年4月号掲載
(No.6)

 仕事は人が動かすもの,どんな仕事にも個性が反映されています.「こんなスゴイ研究をどんな人がしたのだろう?」という素朴な疑問から,その人に会ってはじめて性別や国籍が分かり,バックグランドや人柄を知り,その研究に対する理解が一層深まったという経験をお持ちの方は多いと思います.個性は生まれつき備わっている先天的要素と環境によって育つ後天的要素からなると聞きます.成人の個性は後天的要素が大部分を占めているように思いますが,ある年齢を超えると固定化してしまうようにも感じます.仕事を進める上で,多様な個性を一様に尊重するのは至難の業と言っても過言ではないでしょう.
「自己組織化」現象は,最先端の解析技術を駆使することにより,化学や物理学に基づいて整然と理解されるようになりました.イオン,分子,クラスター,ナノ粒子のように構成単位は様々です.そのサイズや形の分布が重要因子となって秩序を導き,結果として高次の階層構造が跳躍的な機能を発現することが注目されています.多様性と秩序の両立は,組織の機能を最大限に発揮するためにも,組織自体が持続的に発展するためにも,大切な視点であると痛感しています.
  次は,今井宏明さんにバトンをお渡しします.
 

 (産業技術総合研究所 加藤 一実) 

セラミックス誌
2018年1月号掲載
(No.5)

 本欄の第5回目の担当としてバトンを渡されましたので「女性研究者の昇進」について述べてみます.第3回目の安盛 敦雄先生は東京理科大学材料系学科に所属する女子学生の割合を分野別に調べられています.そこで私は女性のプロの研究者について述べてみます.
  日本の女性の研究者は2016年で約14万人で研究者全体の16%を示しており,年々増加しています.しかしロシア(40%),英国(37%),イタリア(36%),米国(34%)に比べると半分以下です.これらの女性研究者は果たして指導的な地位についているのでしょうか?
 JSTの該当する約1万2千人の研究者データベースをもとに文科省の藤原綾乃さんが教授昇進について興味深いデータを出しています.教授昇進の条件は論文や書籍の多さ,引用件数の多さ,受賞,競争的資金の獲得の多さや外国との共同研究などが評価されるといわれています.女性は男性と比べ,ほかの条件は同じでも理工系は50%,医学・生物学で29%,人文社会学で19%と低かったという残念な結果が得られています.これらをもう少し掘り下げて調査しセラ誌3月号で述べてみます.
  次は,加藤一実さんにバトンをお渡しします.
 

 (日本セラミックス協会会長 平尾 一之) 

セラミックス誌
2017年10月号掲載
(No.4)

 私の所属する村田製作所はセラミック電子部品を主力とした部品メーカーです.海外売上比率は90%以上と高く,グローバルに事業展開しています.海外にも生産拠点を持ち,主要ビジネスである通信市場だけでなく,M&Aを活用して事業展開を行っています.
  様々なバックグラウンドを持つ社員が働いており,「多様性(ダイバーシティ)」をお互いに「受容(インクルージョン)」してイノベーションを生み出し企業成長につなげようと,D&Iの活動を推進しています.
 このような取り組みでは,マネジメント側には「多様な人材が働きやすい環境・制度充実」が期待されます.
 その中で私自身がこの活動に対してどのように取り組むべきか,難しく感じていました.そこで先ず,次の2つを心がけることにしました.1つ目は,自分と異なる意見を否定しない事.活動名の通り,否定から入ってはイノベーションを生み出せません.2つ目は,組織での自分の役割を意識する事.自分が何を提供できるか考えながら業務にあたり,組織の成果に貢献したいと考えています. 正解は分かりませんが,これからも自分で出来る事を考えていこうと思います.
  次は,平尾一之さんにバトンをお渡しします.
 

 (株式会社村田製作所 福盛 愛) 

セラミックス誌
2017年7月号掲載
(No.3)

 指導的な地位に占める女性の割合の目標を表す「202030」が決まってから10年以上経ち,2020年まで残り3年となりました.そこで,数字を少し調べてみることにしました.私の所属する材料系学科の女子学生の割合は約20%で,大学全体でも20%を少し超える数字です.その中で,化学系は30%程度,生物系や薬学系では50%ですが,機械系や電気系は10%以下です.次に協会の会員数(2017. 3現在)をみますと,学生会員の女性比率は約17%ですから,化学系と機械・電機系の中間で,私としては何となく頷ける数字ですが,個人会員(つまり就職後)になると約5%と大幅に下がります.しかし30歳以下の若手に限ると12%に上がります.
 これらの数字が表す意味は,いろいろ考えられると思います.興味を持つ分野や得意科目はいつ決まるのか,それらは将来の就職先を考えた結果なのか,社会制度や文化は変わりつつあるのか,等々.もちろんダイバーシティの意味は男女比だけではありませんが,この辺りをみんなで考えていくと,多様な価値観が尊重される社会に繋がっていくのではないかと思っています.
  次は,福盛愛さんにバトンをお渡しします.
 

 (東京理科大学 安盛 敦雄) 

セラミックス誌
2017年4月号掲載
(No.2)

 本欄の第2回目の担当としてバトンを渡されたものの,自分の生活においてあまり男女ということを意識しているわけではありません.私自身の話をすると,独身期間も比較的長く,子供も年をとってから産みましたので,自由に研究し,人と交流することに多くの時間を費やすことが出来ました.それが研究の幅を広げることにつながっているように思います.一方,現在は子供(3歳)の育児に追われる日々を過ごしており,ゆったりとした時間はほとんどありません.以前に比べると仕事をする時間は減りましたが,子育てを通じて多くのことを学び,我慢強くなったように思います.育児はほとんど保育園任せになっていますが,保育園の先生やお友達と過ごす時間を楽しんでたくましく育っている我が子を見ると仕事を続けることが親と子が成長する上で重要な役割を果たしてくれているように感じます.仕事を続けることは大変ですが,家族や友人,上司や研究者仲間の助けがあってこそ頑張れます.騒がしい子供を連れての学会参加などもしますが,温かい目で見守っていただけるとうれしいです. 
  次は,安盛敦雄さんにバトンをお渡しします.
 

 (物質・材料研究機構 瀬川 浩代) 

セラミックス誌
2017年1月号掲載
(No.1)

 日本セラミックス協会は,協会をより活性化するために,2014年に男女共同参画委員会を発足させ,新しいイベントを企画・実行してきました.今回は,皆様と「ダイバーシティ」について考える機会となりますよう,日頃思っていること,悩んでいること,仕事と家庭の両立,育児や介護,グローバル化など,約500文字で思いを書いて,次の著者にバトンリレーしていきます.
  日本のジェンダーギャップ(男女平等)指数は,145ヵ国中101位(2015年)です.1位アイスランドで,ノルウエー,フィンランド,スウエーデンと北欧が上位を占めています.2016年9月にフィンランドのオウル大学を訪問し,研究者・技術者ら13人と交流をする機会を頂きました.効率の良い仕事と短時間労働を推奨し,これにより,帰宅後でも家事,育児,趣味を家族で楽しむ時間がたっぷりとあり,男性も自然に家事や育児を分担していました.残業をしなくても平均給与が比較的高く,社会保障が充実しており,時間が豊かで,自然が豊かで,人生をゆっくり楽しんでいるようでした.素敵な国にうらやましさを感じ,日本の長時間労働社会を憂いている,今日この頃です.
  次は、瀬川浩代さんにバトンをお渡しします.
 

 (男女共同参画委員長 中野 裕美)