日本セラミックス協会東海支部

30回東海若手セラミスト懇話会2004年秋期講演会実施報告

去る平成16107日(木)名古屋工業大学(名古屋市昭和区御器所町)において、第30回東海若手セラミスト懇話会・秋期講演会が開催されました。(共催:日本セラミックス協会基礎科学部会、日本化学会)

本年は、記録的な台風上陸の年となっており、この日も台風襲来の間隙をついての開催となりましたが、幸い穏やかな天候に恵まれました。

会場となった名古屋工業大学は、大学内の建物の新築改装も一段落し、4月より国立大学法人として独法化され新たな一歩を踏み出しました。

会場には、夏期セミナーの盛況をそのまま引き続き、東海地区の大学、企業より一般36名、学生61名の計100名近い参加者が集まり、今回も大盛況となりました。

 講演会は福田委員長の挨拶を皮切りに、会場となった名古屋工業大学所属の川崎晋司助教授による「単層カーボンナノチューブの物理・化学修飾と材料評価」、つづいて、豊田中央研究所の森川健志氏の「可視光応答型光触媒」、さらにコーヒーブレイクを挟んで、数値解析研究所の三井利幸氏の「科学捜査のための分析手法」と題した3件の講演が行われました。いずれの講演も、60分という限られた時間の中で、基礎的な内容から実際の応用に至るまでを大変分かりやすく解説いただき、専門外の研究者や学生さんにも聞きやすい講演でした。最後の三井先生は、愛知県警察科学捜査研究所のご出身という少し異色の講演者ではありましたが、科学捜査への「多変量解析法」の適用を研究され、我々セラミストにとっても重要な微量元素や構成相の同定法について大変参考となる講演でありました。

 また、普段我々が垣間見ることのできない、科学捜査の生の話を聞くことができ、非常に興味をそそられる内容でもありました。質疑応答の時間帯では優秀な質問が数多く 飛び出し、活発なディスカッションが展開されました。 講演会後、名古屋工業大学において行われている材料関連のCOEプログラム「環境調和セラミックス科学の世界拠点」について紹介が行われました。まず、名古屋工業大学柿本健一助教授がCOEプログラムの目的、研究内容、構成員などの説明を行い、つづいて同大日原岳彦助教授により、実際にCOEプログラムにおいて遂行されている研究の内容および成果に関して発表を行いました。セラミックス関連のCOE紹介とあって、聴講者も大いに興味をもって発表を聞いていたようでした。以上のように、限られた時間の中、先端的で幅の広い研究が次々と紹介されていき、学生にも大いに刺激となる内容でした。

 意見交流会は、講演会場とは少し離れた大学会館の大集会室にて行われました。テーブルには、料理とビール、また名古屋工業大学オリジナルワイン等が並べられていました。各講演者の方々に学生さんに向けた激励、コメント等をいただきつつ、食事もアルコールも進み、講演者、一般研究者および学生さんを交えた様々な組み合わせで熱心に議論する話の輪ができていきました。一旦中締めとした歓談も、大半の参加者の話の輪は解けず、レストラン終業時間まで延々と続いていきました。飲酒運転防止の呼びかけによって、公共交通機関での参加が常態化してきたため、講演会、交流会から帰路においても事故はなかったようです。

 本会は、若手セラミックス研究者、技術者の交流と情報交換、また、セラミックスを勉強している学生さんのエンカレッジメントを目的としています。今回の見学会・意見交流会を含めた講演会の開催は、会の趣旨を反映した大変有意義なものであったと確信しており、今後益々の発展を目指したいと思います。

 

文責: 名古屋工業大学 本多 沢雄

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