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第37回 東海若手セラミスト懇話会
2008 年 秋期講演会 開催報告

東海若手セラミスト懇話会
日本セラミックス協会東海支部


去る平成20年10月9日(木)、株式会社INAXにおきまして、第37回東海若手セラミスト懇話会2008年秋期講演会を開催致しました。(共催:日本セラミックス協会基礎科学部会、日本化学会)

今回は講演二件とINAX榎戸工場の工場見学、意見交換会というプログラムで開催されました。招待講演として共栄社化学株式会社 池田 順一氏、若手セラミスト基金 国際セッションとして財団法人ファインセラミックスセンター  クレイグ フィッシャー氏から、それぞれ「次世代メモリ『ホログラフィックメモリ』用記録材料 − 無機と有機の融合 −」、「原子レベルシュミレーションによるエネルギー材料の設計」と題してご講演いただきました。池田氏からは、Blue ray discのさらに次世代の大容量記録媒体として期待されているホログラフィックメモリについて、CDが世に出る以前から研究が進められてきた開発経緯、三次元であることに特徴を持つ記録方法と強み、今後の課題と無機材料開発に期待すること、およびこれから研究者となる若者に対する熱い思いを語っていただきました(→写真1)。また、フィッシャー氏はコンピューターシミュレーションの代表的な手法である格子静力学法と分子動力学法の基礎から非常に分かりやすい解説と、材料分野での進歩、およびリチウム電池の性能向上につながる物性値をシミュレーションによって予測することでよりレベルの高い開発につながった研究など活用例についてご講演いただきました(→写真2)。二件の講演に対する学生諸君の質問の中から、ベスト質問賞をそれぞれ1名ずつ選出し、名古屋工業大学の木下智博さんと、名古屋大学の吉川 陽さんが受賞されました(→写真3)。ベスト質問賞は若手セラミストによる、より活発な議論を奨励するために毎年設けておりますが、今回もレベルの高い質問がなされ、講師が選出に悩む、といった一幕もありました。次回以降も積極的な議論への参加を期待します。

講演後には、INAXの衛生陶器製造の主力である榎戸工場の見学を4グループに分かれて実施しました。複雑な形状で大きな衛生陶器がどのように作られていくか、製造の流れの説明と、人による作業が中心のラインと大規模なFAが導入されているライン、INAXの多様な機能化商品の数々が紹介されているショールームの見学を、説明担当者の詳細な解説を交えて行いました。日頃見られないものづくりの現場に触れて、見学者にとって非常に興味深く、刺激に富んだ見学会となったようです。

工場見学の後は意見交換会を開催しました。大学、企業、研究機関の若手セラミスト達がにぎやかに議論、意見交換を交わしました。

今回は大学、企業、研究機関などから 74 名の参加があり、その内、学生が 43 名参加しました。本会が盛況のうちに終わったのも、講師をはじめ、参加者の方々のご協力の賜物と心から感謝申し上げます。

written by 嶋津 季朗[(株)INAX]


ベスト質問賞受賞者(敬称略)

対象講演氏名所属質問内容
講演1 木下 智博 名古屋工業大学 「データの保持、安定性について」「研究のターニングポイントは?」
講演2 吉川 陽 名古屋大学 「分子動力学法では温度の情報もありより精度が高いことが分かると思われるが、格子静力学法を使うことの利点は何ですか?」

写真(画像をクリックすると拡大表示されます。)

invited lecture 1
写真1 招待講演(1)
invited lecture 2
写真2 招待講演(2)
invited lecture 1
写真3 授賞式

photo by 尾畑 成造(岐阜県セラ研)


開催案内
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平成20年度事業

掲載:2009年1月7日
修正:2009年6月1日
更新:2014年11月19日