2025年度 エンジニアリングセラミックス若手セミナー
開催報告

 
2025年8月26日(火)~27日(水)に熱海伊豆山温泉・ハートピア熱海において、エンジニアリングセラミックス部会の主催行事である「2025年度エンジニアリングセラミックス若手セミナー」を開催しました。


 本セミナーは、エンジニアリングセラミックスおよび関連分野における若手研究者・学生間の切磋琢磨と世代間交流を主目的として合宿形式で実施し、第一線で活躍される研究者による特別講演、若手研究者のアクティブな議論の場である若手講演、学生を対象としたフリートークおよびポスター発表を行った。参加者は計38名で、内訳は一般研究者13名、学生25名(博士後期3名、博士前期12名、学部4年生10名)であった。

 特別講演では、織田武廣氏(京セラ株式会社)より「小型月着陸実証機(SLIM)メインエンジン用セラミック・スラスタなどエンセラの特殊用途のご紹介」と題し、航空宇宙用途など極限環境下における窒化ケイ素の応用展開と、信頼性向上に向けた粒界相設計手法、海底地震計や核融合炉など他分野への展開、さらに宇宙観測用途のファインコージライトⓇ部材など、多くの実証例を交えた解説を頂いた。若手講演では、寺坂宗太氏(一般財団法人ファインセラミックスセンター)より「セラミックスの焼結による微構造変化/変形のシミュレーション」と題し、焼結の際に起こる緻密化・粒成長・変形などの現象を説明するため、原子レベルからミクロ・マクロスケールまでの各種計算手法の組み合わせ・使い分けについてご講演頂いた。学生によるフリートーク(2件)では、50分の持ち時間のうち発表を15-20分とし、残りの時間をすべて質疑に充て、議論が尽きるまで討議した。本会に参加した多様な専門分野の研究者との討論や、先輩・後輩学生からの率直な疑問・質問も相まって、予定時間を超過するほど白熱した議論が交わされた。夕食後には、学生参加者全員によるポスター発表を実施した。本セミナーは、通常の学会とは異なり「やってみたけれどもうまくいかない、考察に迷っている」といった内容の発表も積極的に受け入れており、オープンかつフラットな雰囲気のもと、密度の高い議論・情報交換が活発に行われたことが印象的であった。

 1泊2日と限られた時間であったが、ポスター発表後の情報交換会や、所属研究室をシャッフルした宿泊部屋割りを行ったことで、初対面の学生や研究者同士でも、セミナーを終えるころには忌憚のない意見を交わす雰囲気が醸成された。参加者からは「他の学会等で顔を合わせた際に交流がしやすくなった」、「博士課程学生とも話ができた」、「学会でお見掛けする先生方からコメントを頂き励みになった」等の感想が寄せられた。

 本セミナーの実施にあたり、ご支援を頂いた関係各位の皆様、ならびにご参加頂いた皆様方に深く御礼を申し上げます。今後も改善を重ねつつ若手セミナーを継続開催できるよう、引き続きのご支援・ご協力を頂ければ幸いです。


写真

集合写真
集合写真

講演の様子
講演の様子


執筆 東京都市大学 小林亮太


作成日時:2025年10月9日