1993年 学術部門 銀賞

窒化によって形成されたTi2N相の組織

写真の説明:
890℃において,72時間ガス窒化を行ったβ−Ti合金に生成したTi2N相を透過電子顕微鏡によって観察を行ったものである.入射方向は[011]であり.Ti2N相は双晶面を(211)面とする内部双晶を形成しており,マトリックスに対して4つのバリアントを持っている.電子回折パターンと高分解能像中には[l00]方向に6倍の周期構造がみられる.

学術的な意義:
窒化法は表面硬化法として広く用いられている方法であるが,窒化機構は明らかにされていない。ここに示したTi2N相はマトリックスの約10倍の硬さを持っており、これは転位の運動が双晶界面により妨げられるために起こると考えられる.またTi2N相の(200)面に規則的に窒素が侵入して,周期構造を作りながらTiN相に相変態することがわかった.以上の様に本研究は,β型Ti合金の窒化機構と窒化による強化機椿を金属組織学的立場から明らかにしたものである.

装置、撮影条件等:
日本電子JEM一4000EX、加速電圧400kV,直接撮影倍率(上)20万倍(下)30万倍

出品者所属・氏名:
(京大院)近藤淳哉、(京大工)奥健夫、((財)応用科学研)桑原秀行、 (京大工)菊池潮美、小岩昌宏

撮影者所属・氏名:
(京大工)奥健夫

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