1995年 学術部門 銀賞

ZrC/ZrO界面の高分解能電子頭微鏡観察

写真の説明:
{200}面を持つ単結晶ZrCを酸化して得れたZrC/ZrO界面の高分解能電子顕微鏡写真である。 格子縞間隔から計算すると、ZrCの(200)面が現れ、これとよく密着した 状態で酸化物相が接し、この中に様々なサイズの(111),(200),(220) 面を持つZrO結晶子が界面から10〜20nm 離れた場所に分布している。界面付近でのEDX分析の結果から、炭素が界面に 濃縮しており、酸素が酸化相中で界面に向かって濃度勾配を持っていた。 このTEMとEDXの結果から、界面から10〜20nmの幅でアモルファスの 炭素とZrO2‐xが存在している。

学術的な意義:
炭化物の界面の微細構造観察は、その酸化機構を理解する上で極めて重要である。 今回、遷移金属炭化物(ZrC)の反応界面を始めて高分解能顕微鏡で観察でき、 原子レベルでの酸化機構の説明が可能となった。
ZrCはダイヤモンドと同じ位硬く、酸化相は非常に柔らかい。このような試料から電子顕微鏡観察用試料を作製することは極めて難しく、イオンエチング/観察を何回も繰り返して最終的にTEM観察が可能な試料を作製できた。

装置、撮影条件等:
JEOL JEM−3010、300kV

出品者所属・氏名:
北海道大学大学院物質工学専攻 嶋田志郎

撮影者所属・氏名:
日本電子株式会社 鈴木三喜男

前のページに戻る