1995年 学術部門 銀賞

イオン照射によりBiSrCaCu単結晶内につくられたカスケード欠陥

写真の説明:
BiSrCa Cu単結晶へ のFe8+18MeV照射によってつくられた、 カスケード欠陥TEM断面観察像である。イオン照射はc軸に沿って行い、 ドーズ量は1×1012 ion/cmである。 低倍率像(a)において、カスケード欠陥が点状の白いコントラストとして 観察される。これらの欠陥は深さ約4.5〜5.0μmの範囲にのみほぼ均一に 分布している。低倍率像(a)の中の四角く囲った部分を、拡大したものが 高分解能像(b)である。欠陥の大きさは、平均で約10nmの大きさを持ち、 欠陥の生成により逆位相境界(APB)が形成されていることが分かる。

学術的な意義:
上記照射条件においてつくられる欠陥が、楕円球状のカスケード欠陥であり、 その分布が図に示すように試料に均一に導入されず、深さ方向に限られた 範囲にのみ分布していることを直接確認したはじめての観察結果である。 また、これら欠陥が互いに独立に分布する場合、超伝導体の有効な磁束ピン止め点 として機能することを確認している。

装置、撮影条件等:
トプコン社製透過電子顕微鏡 EM−002B、加速電圧 200kV
撮影倍率(a)12万倍、(b)59万倍

出品者所属・氏名:
財団法人ファインセラミックスセンター 佐々木優吉、周維列、幾原雄一

撮影者所属・氏名:
財団法人ファインセラミックスセンター 佐々木優吉、周維列、幾原雄一

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