1995年 技術部門 銀賞

南の海の生物群 −ZnO粒子における欠陥構造−

写真の説明:
酸化亜鉛バリスタのエッチング面のSEM写真。多数の微細なDefectが 観察される.暖かい南の海を旅しているようだ.写真中,六角錐は酸化亜鉛の−c面 側を示し、六角錐の軸はc−軸を示す.従ってDefectは,c‐面に平行である. Makovec and Tronteljが研究した"Serpentine‐type"Defectと同種類のものであろう と推定される(*)。すると,DefectはZn0結晶の六角柱のプリズム面にも平行である.彼等によるとDefectは,微量のTi0 を含みDefect面の両側では原子配列は互いにInversionであるという。

学術的な意義:
非直線抵抗特性を有する酸化亜鉛(Zn0)多結晶体を製造する際,酸化チタン (Ti0)が少量添加されるとZn0粒子の 異常粒成長か生ずることが知られているが,そのメカニズムは解明されていなかった. 今回,Zn0+Bi (0.5mol%)+MnC0(0.5mol%)+ Ti0(0.5mol%)の混合物を仮焼(700℃) し,粉砕・造粒・成型し焼結(l100C)して得た焼結体表面をエッチング (H0:HCl=2:1液に,5秒)しSEM観察 した.写真の如き微細構造が観察された.Zn0グレインの大きさは100μm 位であるので,写真はグレインの一部を観察しているに過ぎない. Ti0添加の焼結体では、Zn0グレインはc−面に 平行に異常成長する.写真の微細な檎造はc−面に平行に形成されているが, このDefectに沿って拡散が活性化し,これが異常粒成長の原因であると 考えられる.
(*)D.Makovec and M.Trontelj,"Extended Defects in Zn0 Ceramics Containg Bi4Ti3012 Additive,"J.Am.Ceram.Soc. 77,[5]1202-208(1994)

装置、撮影条件等:
日立製作所製SEM S900、加速電圧 10kV,観察倍率 1万倍

出品者所属・氏名:
松下電器産業(株)材料デバイス(研) 伊賀鷺志、伊藤昌宏、沖中秀行

撮影者氏名:
(株)松下テクノリサーチ 橋本明美、福岡義彦

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