1994年 学術部門 銀賞

スルーフォーカス法で撮影したZeoliteの高分解能TEM写真

写真の説明:
Zeolite Y微粒子の同一視野をスルーフォーカス法で<110>方位から 連続的に撮影した高分解能TEM写真とそのシミュレーション像である。写真は 左から右へ(1→4)35nmずつアンダーフォーカスにして撮影している。 大きな白いコントラストとして確認されるのが酸素12員環からなる窓径7.4nm のスーパーケージを示しており、これが分子櫛と呼ばれるゼオライト特有の機能を 発現させている。また、観察された像がシミュレーション像と一致をしていることが 確認される。

学術的な意義:
ゼオライトは電子線照射に対して極めて敏感で、透過型電子顕微鏡による通常の 観察条件では瞬時に結晶が破壊されるため、高分解能観察が不可能である。本研究に おいては、通常のフィルムに対して50倍以上の感度を持つデジタル画像記録方式 (スロースキャンCCD)を応用した低電子線量での観察によって、ほとんど 試料に損傷を与えることなく同一部位のスルーフォーカス法による画像記録に 成功した。同一部位においてフォーカス条件を変えながら連続的に画像記録した 報告例はなく、本観察手法の有効性を証明するものである。
新たな機能特性材料の開発を目的として、イオン交換やマイクロクラスター挿入 などのゼオライト修飾が試みられているが、こうした高分解能観察と コンピュータシミュレーション像との比較によって、挿入状態の直接的な解析が 可能となる。

装置、撮影条件等:
透過型電子顕微鏡(トプコン(株)EM‐002B、加速電圧200kV、 直接観察倍卒39万倍
ズロースキャンCCDカメラ(ガタン社model679)、画像取り込み時間2秒

出品者所属・氏名:
財団法人ファインセラミックスセンター試験研究所基盤研究室 佐々木優吉、 鈴木敏之、幾辰雄一・中部電力株式会社 佐治明

撮影者氏名:
財団法人ファインセラミックスセンター試験研究所基盤研究室 佐々木優吉、 鈴木敏之、幾辰雄一・中部電力株式会社 佐治明

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