オーディオテープには磁性粉として酸化鉄が使われていた。カセットが急速に普及し、その後のHi-Fiオーディオブームに伴い、より高音質の記録特性が求められるようになり、高保磁力の二酸化クロムが磁性粉として使用されるようになった。欧米でしか製造出来なかった二酸化クロムへの対抗策として、コバルト被着酸化鉄を磁性粉として使用したカセットテープが登場し、ビデオ用も含め、次第に二酸化クロムテープを駆逐して行った。更なる記録特性向上のため、その後磁性粉は金属粒子(いわゆるメタル粉)に進化して行った。隆盛を誇った磁気テープも徐々に光ディスク等に移行し、生産量は減り続けているが、コンピュータデータの保存に使われるデータテープは、高密度化のための数々の技術革新を盛り込んで生き続けており、その重層塗布テープの下層には今でも顔料として非磁性酸化鉄が使われている。 |