超音波モータは,圧電素子(注1)を使い電気エネルギーを機械エネルギーに換える圧電アクチュエータ(注2)のひとつである.その原理は,圧電素子により振動体(ステータ)に超音波(注3)振動を発生させ,摩擦力により移動体(ロータまたはスライダー)を駆動するものである.1986年に回転型の超音波モータがわが国で初めて実用化された1).その主な特徴は電磁式モータと比べて,低速で高トルクであり,起動や停止の応答性が良く,停止時に保持トルクがあること,さらに,音が静かで磁石を使わず磁界を発生しないことなどである.また,超音波モータは単純な形状の圧電素子を使い,構造が比較的単純でいろいろな形に設計しやすいが,振動や摩擦により起る摩耗など設計の難しいところもある.これまで多くの企業や大学などで研究や開発が進められ,数多くの様々なタイプの超音波モータが提案され実用化が進められている.1)2)3)
注1 ある形状を持った圧電材料に電極が付与された素子
注2 電気的なエネルギーを機械的な変位や力に変換するために圧電素子を利用したアクチュエータ
注3 可聴周波数帯域から上の約20kHz 以上の高い周波数の音波や弾性波
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