日本セラミックス協会関東支部 セラミックス地域懇談会 実績報告書

概 要
 2023年12月15日に,Teamsを用いたオンライン方式により,地域懇談会事業と,第3回長野県ファインセラミックス技術研究会を共催実施しました.
 研究会員である長野県内の中小企業と信州大学に加え,関東支部会員の参加もあり,24機関55名の参加者を迎えて実施する事ができました.
 今回は,岡山大学 大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻 応用化学講座 教授 岸本 昭 氏をお招きし,HIP処理の概要と応用例について御講演をいだたきました.
 御講演では,HIP処理の応用として3つの事例をご紹介いただきました.まず,酸化マグネシウム(MgO)の透光性向上に関して,粗粒粉末混合割合のHIP処理後の相対密度と粒径への影響や,粒径の大きさと光透過度の関係について解説していただきました.次に,窒化アルミニウム(AlN)の導電率向上に関して,HIP前のミリ波加熱が焼結の低温・短時間化に有効なことや,ミリ波加熱条件と焼結助剤の添加量の最適化によるHIP処理後の熱伝導率向上についてご紹介いただきました.最後に,炭化ケイ素(SiC)の高温環境用圧力センサー素子としての感度向上に関して,カプセルHIPによるSiCの緻密化や,窒素雰囲気HIPによるAlN添加SiC焼結体の窒素ドーピングがピエゾ抵抗係数の向上に有効なことを解説していただきました.
 今回,研究会での講師をお引き受け頂いた岸本様,ご参加いただいた皆様,並びにご支援を賜りました日本セラミックス協会関東支部幹事の皆様に深く感謝申し上げます.

講演内容

題 目:「HIP処理の概要と応用例」

講 師:岡山大学 大学院自然科学研究科
    化学生命工学専攻 応用化学講座
    教授 岸本 昭 氏

内 容:1.HIP処理の概要
    2.HIPによる緻密化と透光性向上,特異な粒成長挙動(MgO)
    3.HIPによる難焼結性材料の緻密化と熱伝導性の向上(AlN)
    4.HIPによる難焼結性材料の緻密化,窒素ドーピングによる機能性向上(SiC)

質 疑:窒素雰囲気HIP焼結による窒素固溶焼結体の窒素の分布状態について
    HIP焼結しても緻密化しない場合の原因について 等

以 上

参加者募集‐日本セラミックス協会関東支部 セラミックス地域懇談会

<講演会>

日時:2023年12月15日(金),13時30分〜15時30分

開催方法:Teamsによるオンライン開催

講師:岡山大学 大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻 応用化学講座
   教授 岸本 昭 氏

題目:「HIP処理の概要と応用例」
 HIP焼結法はガスの圧力を用いてサンプルを等方的に加圧しながら熱処理を行う方法であり,焼結体の緻密化や焼結温度の低温化,焼結時間の短縮化が期待されている.岸本氏は一次焼結にミリ波加熱を適用することで,ポストHIPによる完全緻密化や熱伝導率・イオン伝導率等の特性向上に有利な組織が得られることを見出しており,本講演で詳しく解説していただく.

参加者:50名程度
   参加希望者は,12月13日(水)17:00までに以下の連絡先にお知らせください.

参加費:無料

主催:長野県ファインセラミックス技術研究会
   日本セラミックス協会関東支部

連絡先:長野県工業技術総合センター 材料技術部門 材料化学部
   柳澤貫太
          E-mail: yanagisawa-kanta-r@pref.nagano.lg.jp