平成22年度見学会(参加報告)

日本セラミックス協会関東支部見学会の参加後記

日本大学大学院理工学研究科 物質応用化学専攻1年 吉武 究

 平成22年11月12日(金)に日本セラミックス協会関東支部の見学会が開催されました.本年の参加者は 25 名(内,学生 17 名)であり,午前は旭硝子株式会社相模工場,午後は神奈川県産業技術センターを見学させていただきました.9 時 30 分に小田急線海老名駅に集合し,バスで 40 分ほどの場所にある旭硝子相模工場に向かいました.
旭硝子はいわずと知れた主要ガラス製品のシェアにおいて世界で 1 位もしくは 2 位である大企業であり,相模工場では自動車用の曲面ガラスを製造しています.始めに事務所前にて記念撮影を行った後,会議室にて 20 分ほど旭硝子についての概要や相模工場での生産品目などの説明を受けました.
 まず,自動車用サイドガラスとリヤガラスを製造している強化製造ラインを見学しました.見学するにあたり製造工程についてパネルにより説明を受けました.ガラス製造会社について普段意識することは少ないのですが,このとき製造されていたのがトヨタ自動車のプリウスのリヤガラスであることを知り,普段よりも身近に感じることができました.月産 50 万枚ものガラスを製造しているため,なにもかもスケールが大きく圧倒されるばかりでした.また,これほどの規模で製造しているにもかかわらず,製品に応じて製造装置のパーツを交換し,最後は人の手で丁寧に一枚一枚検査をところからも,「厳しい時代のニーズに真摯に応える意気込み」,「ものづくりへの真剣さ」を感じました.
 工場の敷地が広大なため,次の合わせガラスの製造ラインへはバスで移動となりましたが,その車中工場の方が参加者からの質問にいろいろ答えていただきました.一つの車種に用いられるガラスは場所により製造企業が異なること,また,同じパーツであっても複数の企業が製造している場合があるなど業界のしくみを知ることができました.その後はフロントガラス用の合わせガラスの製造工程やガラスの耐久試験を行っているところを見学しました.
 昼食をとった後,バスで海老名駅に戻り徒歩 15 分ほどの距離にある神奈川県産業技術センターに向かいました.
 神奈川県産業技術センターは,県内に設置していた工業試験所,工芸指導所,繊維工業指導所,家具指導センターの4機関を機能強化と活性化のため統合してできた施設であり,主に中小企業の技術支援を目的としています.こちらでもまず入り口にて記念撮影を行った後,会議室にて 10 分ほど施設の概要や事業内容について説明していただきました.
 その後参加者が 2 つのグループに分かれて,施設内を見学しました.TG-DTA や SEM,XRD といった研究室になじみのある装置に親近感がわいたり,大型の測定装置が並び設備の充実さを感じさせられたりと楽しい時間を過ごすことができました.また,センター独自でも研究を行っており,マイクロ燃料電池のサンプルなどの成果事例を紹介していただきました.
 有意義な時間もあっという間に過ぎてしまい17時頃小田急線海老名駅にて解散となりました.
 今回は旭硝子相模工場と神奈川県産業技術センターの二か所を見学することで,「民間企業と公共機関」や「製造と解析」といった異なる体系の組織についての知識を深めることができました.普段見ることができない製品の製造現場を間近で見学することで企業の雰囲気を肌で感じることができたこと,実際に働いている人の生の声を聞くことができたことは,社会に出る前の学生の身としては自分の将来を考える上でも貴重な体験になったと思います.
 最後になりましたが,今回の見学会を開催していただいた神奈川工科大学の伊熊泰郎先生に感謝するとともに,わたしたちのために貴重な時間を割いていただいた旭硝子株式会社相模工場および神奈川県産業技術センターの方々には深く御礼申し上げます.

平成22年度見学会(写真)



平成22年度見学会(募集要項)

日本セラミックス協会関東支部では学生あるいは若い人向けに「平成22年度の会社見学会」を下記のとおり企画しました.是非ご参加下さいますようお願いいたします.

主催:日本セラミックス協会関東支部

日時:平成22年11月12日(金)

見学先:
1. 旭硝子(株)相模工場(神奈川県愛甲郡愛川角田):強化ガラスなど製造

2. 神奈川県産業技術センター(神奈川県海老名市下今泉):中小企業の技術支援
(主にものづくり支援の部分を見学)

集合:9 時 30 分,小田急線海老名駅に集合予定.詳細な時間配分等は後日申込者に連絡

参加費:1,000 円の予定

申し込み方法:
氏名,勤務先,役職名,Fax 番号,e-mailアドレス(学生の場合は M1,B4などの学年も明記)をご記入のうえ,e-mailあるいは Fax にて下記宛に申込下さい.

締切:先着 28 名まで.これを超えない場合,平成22 年11 月 5 日(金)まで。

申し込み先:
 〒243-0292 厚木市下荻野 1030 神奈川工科大学 応用化学科
 伊熊泰郎 e-mail: ikuma@chem.kanagawa-it.ac.jp
 Tel: 046-291-3102 Fax: 046-242-8760