日本セラミックス協会東海支部

28回東海若手セラミスト懇話会2003年秋期講演会実施報告

 

去る10月31日(金)名古屋大学・ベンチャービジネスラボラトリー(名古屋市千種区不老町)において、第28回東海若手セラミスト懇話会・秋期講演会が開催されました。(共催:日本セラミックス協会基礎科学部会、日本化学会)

夏からあまり四季を感じさせない天候が続いており、この日も、暖かく穏やかな気候に恵まれました。

会場となった名古屋大学は、大学の中央を横切る地下鉄が開通間近に迫り、大学内の建物も新築改装が行われており、現在もダイナミックに変化を続けています。会場となったベンチャービジネスラボラトリーには、夏期セミナーの盛況をそのまま引き続き、東海地区の大学、企業より一般37名、学生62名の計100名近い参加者が集まり、今回も大盛況となりました。

 講演会は委員長の挨拶からスタートし、はじめに豊田中央研究所の稲垣伸二氏による「有機無機ハイブリッドメソ多孔結晶の合成と化学修飾」、東京大学生産技術研究所の野口祐二氏の「ペロブスカイト型強誘電体の格子欠陥と物性制御」、さらにコーヒーブレイクを挟んで、東京工業大学の安田榮一教授の「炭素材料はおもしろい」と題した3件の講演が行われました。いずれの講演も、50分という限られた時間の中で、基礎的な内容から実際の応用に至るまでを大変分かりやすく解説いただき、専門外の研究者や学生さんにも聞きやすい講演でした。 最後の安田先生の講演では、炭素材料の古くから使われてきた歴史から、最新の材料への応用例まで網羅しており、身近でよく知られているはずの炭素材料について改めて勉強し、意外な発見のある内容となっていました。質疑応答の時間帯では優秀な質問が数多く飛び出し、活発なディスカッションが制限時間を超えて展開されました。

 講演会後、名古屋大学においてセラミックスの研究が行われている研究室の紹介が行われました。限られた時間の中、先端的で幅の広い研究が次々と紹介されていき、他大学の学生にも大いに刺激となる内容でした。つづいて、実際に名古屋大学平野眞一教授、河本邦仁教授の研究室および高度な装置を備えた機器分析室などを3つのグループに分かれて見学を行ないました。他の機関の装置を実地で見学することのできる機会は、学生さんにとっては非常に貴重な体験となっていたようです。実際、熱心な見学者と説明者のやりとりが行われた結果、見学会の時間がオーバーし、後の意見交流会のスタートが30分以上も遅れるという嬉しい誤算も起こるほどでした。

 意見交流会は、講演会場とは少し離れたレストラン「花の木」にて行われました。(写真1) まだ見た目も新しく、綺麗なレストランのテーブルに、名古屋大学特製の「名大地ビール」なるものが並べられ、参加者の多大な興味を誘っていました。各講演者の方々に学生さんに向けたコメントをいただくなどの時間も交えつつ、食事もアルコールも進み、講演者、一般研究者および学生さんを交えた様々な組み合わせで熱心に議論する話の輪ができていきました。一旦中締めとした歓談も、大半の参加者の話の輪は解けず、レストラン終業時間まで延々と続いていきました。飲酒運転防止の呼びかけによって、公共交通機関での参加が常態化してきたため、講演会、交流会から帰路においても事故はなかったようです。

 本会は、若手セラミックス研究者、技術者の交流と情報交換、また、セラミックスを勉強している学生さんのエンカレッジメントを目的としています。今回の見学会・意見交流会を含めた講演会の開催は、会の趣旨を反映した大変有意義なものであったと確信しており、今後益々の発展を目指したいと思います。

 

文責: 名古屋工業大学 本多 沢雄


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