日本セラミックス協会の「男女共同参画社会の実現」に向けた取り組み

 日本セラミックス協会 2013~2014年度会長 岡田 清

 我が国は世界の中で飛び抜けて女性の社会参画比率が低い。このような背景により男女共同参画を進める目的で1999年6月に男女共同参画社会基本法が施行されました。この法律では、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」とされています。我が国では,人口減少と少子高齢化が同時に進行し,いまだどんな国でも経験したことのないような超高齢化社会に向かっており、生産年齢人口(15~64歳の人口)の大幅な減少が見込まれています。そのため、経済社会の活性化につなげていく視点からも、社会のあらゆる分野への女性の参加・参画が強く求められています。

 しかしながら、昨年公表された2011年度の男女共同参画白書では、多くの分野において政策・方針決定過程への女性の参画は十分でなく、他の先進諸国と比較しても、依然国際水準から遅れている実態が浮き彫りになっています。2010年12月に閣議決定した第3次男女共同参画基本計画では、科学技術・学術分野における女性の参画の拡大が課題として掲げられており、特に早急に対応すべき課題の一つとして、実効性のあるポジティブ・アクションの推進が掲げられています。科学技術等の分野においては、多様な視点や発想を確保し、国際的競争力を維持・強化していくうえで、女性研究者の参画の拡大に向けた環境整備が不可欠であるとし、女性の参画拡大を積極的に推進することが求められています。


  日本セラミックス協会の取り組みは、2010年10月の公益法人移行後の新体制から、会長の特命事項を担当する特命理事を新設し、「男女共同参画社会の実現」にむけた協会活動の検討を進めてきました。さらに、公益法人化後に策定した2012年度中期経営計画では、対応すべき運営課題の一つとして、「協会活動への女性参画の拡大」を掲げ、ポジティブ・アクションの推進を活動内容としています。現在、セラミックス協会の個人会員のうち女性会員比率は4.7%ですが、委員会や部会活動などの協会活動に積極的な参加をいただいており、2013年度には協会初の女性副会長、部会長が誕生しています。一方、現在の学生会員に占める女子学生会員は14.7%であり、セラミックスを学んでいる多くの女子学生にたいする継続した支援活動を通して社会に出た後も会員を維持していただき、協会会員の女性比率の向上に結びつけていくことが必要であります。


  このような状況を踏まえて、2013年1月理事会で、新しく「女性参画拡大検討委員会」の設置を決め、この問題に関する学会員の意識の向上と協会活動における男女共同参画の実現を目指した活動の加速を進めることにしました。日本セラミックス協会は、セラミックス分野に関するわが国唯一の総合的な学術・産業共同の団体であり、セラミックスは日本の素材産業の中枢を支える大きな存在でもあります。このように大きな社会的影響力を持つ日本セラミックス協会において、男女共同参画の推進活動を強力に推進していくことは、他の分野にも大きな波及効果をもたらすものと思います。女性の持つ価値観を取り入れ、女性の能力を活用することは、セラミックス協会の発展、セラミックス産業の発展、さらには社会全体の好ましい発展につながるものであります。


 会員の皆様には男女共同参画推進活動にたいするご理解を賜るとともに、日本セラミックス協会の「男女共同参画社会の実現」に向けた取り組みに対するご協力・ご支援をどうぞよろしくお願い致します。

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