2024年度エンジニアリングセラミックス若手セミナーが2024年8月29日から8月30日の日程で、熱海伊豆山温泉・ハートピア熱海で開催されました。
本セミナーは、エンジニアリングセラミックスおよび関連する学術分野で研究開発に携わる若手研究者・学生間の切磋琢磨と世代間交流を主目的とし、第一線でご活躍の研究者による特別講演、若手研究者の積極的議論の場としての若手講演、学生を対象としたフリートークとポスター発表を1 泊2 日の合宿形式で実施した。一般研究者12 名、学生21 名(学部4 年生7 名、博士前期11名、博士後期2 名、研究生1 名)からなる33 名の参加があり、活発な意見交換がなされた。
特別講演では、北岡諭氏(一般財団法人ファインセラミックスセンター)より「航空機エンジン部材用遮熱・環境遮蔽コーティングの設計と機能発現」の演題でご講演を頂き、航空分野におけるCO2 削減に係る考え方、航空機用耐熱部材の遮熱・環境コーティングの現状と、カルシウム-マグネシウム-アルミノシリケート(CMAS)融液に対する優れた耐性を有する環境遮蔽コーティングの設計指針について解説を頂いた。若手講演では、中島祐樹氏(産業技術総合研究所)より「窒化ケイ素セラミックスの高性能化とAI 技術の利用」の演題で、窒化ケイ素セラミックスの微細組織が機械的、熱的特性に及ぼす影響とAI 技術を用いて微細組織からこれらの特性を予測する取り組みについて解説を頂いた。若手研究者による一般講演(1 件)と学生によるフリートーク(4 件)では、50 分の持ち時間のうち発表を15-20 分、残りの時間全てを質疑にあてて議論が出尽くすまで参加者全員で討議した。本会に参加した様々な専門分野を背景にもつ研究者との討論や、先輩・後輩学生からも率直な疑問・質問が投げかけられ、予定以上の時間をかけて白熱した議論が交わされた。夕食時に参加者全員で自己紹介した後、食後の部では学生参加者全員によるポスター発表を行った。本セミナーでは、普段の学会とは異なり必ずしもうまくいった話ばかりではなく「やってみたけれどもうまくいかない、どう考察した良いか迷っている」などの発表も受け入れており、身近な研究の悩みをざっくばらんに議論ができる環境も相まって、各々熱量の高い議論が交わされていた。
1 泊2 日の限られた時間であったが、ポスター発表後の情報交換会や、所属研究室をシャッフルした宿泊部屋割りを行ったこともあり、初対面の学生や研究者同士でもセミナーを終えるころにはお互いに忌憚のない意見を投げあう雰囲気が醸成された。「本会をきっかけに他の研究会・学会等で顔を 合わせた際に研究や近況報告の交流がしやすくなった」、「博士課程学生と話ができたり学会でお見掛けする先生方からコメントを頂けたりして、励みになった」との感想も頂くことができ、今後とも、改善を重ねながら若手セミナーを継続的に開催させて頂くご協力を頂けますと幸いである。
最後に本セミナーの実施にあたり、ご支援頂いたご関係各位の皆様、ならびに台風10 号の接近に伴い天候が読めない中ご参加頂いた皆様方に深く御礼を申し上げます。
文責:横浜国立大学 飯島志行
作成日時:2025年3月11日