石見地方の焼き物の歴史は古く、現在に直接つながる石見焼を証明する史料は18世紀中葉から始まります。水甕、瓦など生活に根付いた焼き物で知られ、江戸末期には中国地域に限らず、九州から北陸、東北までの日本海沿岸を大いに出荷貿易されていました。
  昭和中期まで水甕の需要は多く、大規模な登窯による生産が行われていましたが、第二次大戦後の急速に広がる水道の普及やプラスチック容器に替わることで生産量が減ってしまいました。
各種作品
大きな水甕は石見焼を代表するもので、「はんどう」と呼ばれています。水を貯える目的で作られるので、水が漏れないように石見で採れる二種の粘土を混ぜ合わせて,1300℃の高温で焼き上げています。
大皿や味噌樽、漬物容器など、やや厚目に作られた素地には、櫛目、へら目、化粧掛けや釉の流し掛けによる装飾が施されています。来待錆石(きまちさびいし)による赤褐色の色合いは手作りの素朴で武骨な形とともに、なぜかなつかしさを感じさせます。
水甕(宮内窯) 甕を用いた橋名板
頑固に伝統を守り、大物を作りの技法を伝承する石州嶋田窯と石州宮内窯を訪ねました。「はんどう」作りに欠かせない石見産粘土が山と置かれ、伝統的手法で土作りが行われています。「製作に必要な粘土は二十年分、大丈夫ありますよ」というお話。大きな水甕の原料の20年分を思うと、伝統技法を後生に伝える心意気が伝わります。
毎年5月の連休期に石見焼祭りが開かれ、巨大な登窯の窯焚き・窯出しと、ホットな作品の即売が行われています。
作業場 登窯
 
<情報>
産地の組合等

石見陶器工業協同組合
島根県物産観光館
島根県石央地域地場産業振興センター - 常設展示即売場

産地の周辺情報

島根県江津市観光協会

イベント

石見焼 陶器祭(江津市地場産センター)(11月 10 ・11 日)
石見焼祭(毎年5月の連休期)

 
セラミックス博物館
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