公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

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第27回エレクトロセラミックスセミナー

第27回エレクトロセラミックスセミナー

「電極材料のブレークスルー」~導電性ペロブスカイト酸化物の基礎と最新動向~

主催 日本セラミックス協会電子材料部会
協賛 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会
日時 平成20年11月28日(金)13時~17時
会場 東京大学 先端科学技術研究センター4号館2階 講堂(200号室)(駒場リサーチキャンパス内)

セミナーのねらい

 文部科学省と経済産業省はH19年度より、「資源問題解決の決定打となる希少資源・不足資源代替材料革新技術」に位置付けられる「元素戦略プロジェクト」及び「希少金属代替材料開発プロジェクト」を開始しました。そこで、今回はこの元素戦略に関連した、レアメタル資源の状況およびレアメタル資源供給限界に備えた脱レアメタル材料研究開発について考えてみたいと思います。
 脱レアメタル材料開発の重要性をご理解いただける良い機会と思いますので、セラミックス研究者だけでなく、材料開発に携わる多くの皆様のご参加を募ります。

プログラム

講演概要は裏ページ参照

13:00~13:10
主催者挨拶・趣旨説明
13:10~14:00
電気を流すセラミックスの探し方 ~ペロブスカイト酸化物を例として~
早稲田大学 寺崎 一郎 先生
14:00~14:50
マイクロデバイス用のペロブスカイト酸化物電極材料の取捨選択法
東京工業大学 舟窪 浩 先生
14:50~15:10
休憩
15:10~16:00
ペロブスカイト系酸化物の酸素欠陥構造と酸素イオン伝導
九州大学 石原 達己 先生
16:00~16:50
SOFC用酸化物カソードの反応サイト分布
東北大学 川田 達也 先生
16:50~17:00
閉会挨拶
定員 100名
参加費 会員:10,000円(協賛団体会員を含む)、非会員:15,000円。学生会員:2,000円、非学生会員:3,000円。
申込方法 HP(http://www.ceramic.or.jp/bdenshi/seminar/2008_index.html)の所定フォーマットからお申し込みください。参加費はセミナー前日までにご送金ください。
申込・問合先 〒169‐0073
東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会 電子材料部会
Tel 03-3362-5231
Eメール e-seminar@cersj.org
振込先 三菱東京UFJ銀行新宿中央支店(普)5713561(社)日本セラミックス協会電子材料部会。
銀行振込の場合、振込受領書を領収書にかえさせていただきます。

プログラム詳細

電気を流すセラミックスの探し方 ~ペロブスカイト酸化物を例として~
早稲田大学 寺崎 一郎 先生

 酸化物は高温大気中で安定であり、磁性・伝導性・誘電性をはじめとして様々な機能の宝庫です。特にペロブスカイト酸化物は、大きなイオンと小さいイオンが、結晶学的に異なるA,Bサイトに入るため、様々な機能修飾を可能とする構造を持ちます。
 本講演では、酸化物の電子状態の基礎から出発し、どのような元素の組み合わせが高い伝導性を与えるかを論じ、それを確かめるための測定技術について紹介します。具体例としてペロブスカイト酸化物の物性を概観し、時間が許せば我々の実験結果を紹介するとともに、白金に代わる高温対応電極開発の糸口について考察します。

マイクロデバイス用のペロブスカイト酸化物電極材料の取捨選択法
東京工業大学 舟窪 浩 先生

強誘電体メモリ(FeRAM)やDRAMでは、メモリセルは強誘電体や絶縁体を電極ではさんだ“サンドイッチ”構造で構成されており、低電圧や高速動作、また高容量化を目指した薄膜化が検討されています。その過程で、素子特性は電極材料および電極―強誘電体または電極―絶縁体の界面に大きく支配されることが広く認識されてきました。特にFeRAMではデバイスの信頼性確保の観点から、SrRuO3, LaNiO3等のペロブスカイト酸化物の採用が検討されています。
本講演では、電極材料の選択にかかわる、導電性、高温での酸素分圧安定性や反応性、さらにはエッチング特性等について紹介します。

ペロブスカイト系酸化物の酸素欠陥構造と酸素イオン伝導
九州大学 石原 達己 先生

 本講演ではいくつかのペロブスカイトおよびペロブスカイト類縁酸化物について、酸素イオン伝導性を紹介するとともに、酸素イオン欠陥構造との関係について紹介します。とくに、18Oを用いて酸素の拡散定数を算出し、酸素イオン伝導との関係を詳細に検討した結果を紹介します。また、中性子回折を用いた解析による酸化物イオン移動経路について紹介します。ペロブスカイト型構造では酸素欠陥が導入し易く、大きな酸素イオン伝導が得られると考えられがちですが、大きな酸素イオン伝導は移動度の大きさに起因することがわかってきています。一方、ペロブスカイト類縁酸化物としてPr2NiO< sub>4系酸化物の酸素イオン混合伝導性を検討しており、この系では、酸素は格子間を経由して移動しやすいことが明らかになりつつあります。この系でも大きな酸素の移動度が予想され、酸素透過膜としても注目されています。

SOFC用酸化物カソードの反応サイト分布
東北大学 川田 達也 先生

 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の中低温動作用カソードとして、BサイトにCoを含むペロブスカイト型酸化物が注目されています。これらは電子と酸化物イオンの混合導電性を示し、電極粒子内部を酸素が通ることで有効な電極反応サイトが広がることが知られています。講演者等は、電気化学インピーダンスの詳細な解析に加え、同位体イメージングやマイクロXAFSなどの測定手法を利用して電極内の輸送経路を明らかにすることを試みてきました。本講演では、これらの評価技術の考え方と適用範囲を中心に最近の研究成果を紹介します。

以上