公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

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第34回エレクトロセラミックスセミナー

第34回エレクトロセラミックスセミナー

革新的熱利用技術につながるセラミックス材料戦略

主催 日本セラミックス協会電子材料部会
協賛 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会(順不同)
日時 平成27年11月27日(金)13時00分~17時20分
場所 TKP東京駅前会議室カンファレンスルーム1
(東京都中央区日本橋3-5-13三義ビル2F、東京駅八重洲口徒歩5分)

セミナーのねらい

 「熱」は、ほぼ全てのエネルギープロセスにおいて生じ、各種エネルギーキャリアの最終形態となっています。しかし現在、一次エネルギーの約3割しか最終的に有効活用されておらず、製品の製造から使用時に至る各種プロセスにおいて膨大な熱量が系外へそのまま廃棄されています。従って、排熱、蓄熱、断熱、放熱、等、「熱」を必要な時に有効利用するための要素技術や機能性材料の研究開発、さらにこれらをシステム化した熱マネージメント技術の構築が、創エネルギーと省エネルギーの両面でますます重要視されています。これらの検討は、将来的な熱利用技術の高度化につながるものとして各方面から多くの期待が寄せられています。
 本セミナーでは、究極のエコカーをはじめ各種技術開発が先行する自動車分野における熱マネージメントの役割と重要性、さらにセラミックスを含む各種部材への期待を総論として学び、続いて、各種セラミックスが革新的熱技術に貢献できる領域が広がっている現状を踏まえ、各論として関連する話題を提供します。
 以上のように、熱技術と材料技術との深い関わりについて理解を深め、将来的な材料設計指針を得ることを本セミナー開催のねらいとしています。

プログラム

敬称略

13:00~14:00
自動車の熱管理技術と課題
トヨタ自動車株式会社 性能実験部 熱・流体開発 プロフェッショナルパートナー 松野 孝充
14:00~15:00
排熱利用を可能にするセラミックス熱電発電技術の開発
国立研究開発法人産業技術総合研究所 無機機能材料研究部門 上級主任研究員 舟橋 良次
15:00~15:20
休憩
15:20~16:20
熱マネジメント技術におけるセラミックスの活用
国立大学法人名古屋大学 大学院工学研究科 物質制御工学専攻 教授 北 英紀
16:20~17:20
ナノ多孔質粒子を用いた長寿命真空断熱材の開発
株式会社LIXIL R&D本部 分析・評価センター センター長 井須 紀文
定員 80名
参加費 会員10,000円(協賛団体会員含む)、非会員15,000円、学生会員2,000円、学生非会員3,000円
申込方法 HP(http://www.ceramic.or.jp/bdenshi/)の所定フォーマットからお申し込み下さい。(参加費: セミナー当日支払)
問合先 〒169‐0073
東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会 電子材料部会
Tel 03-3362-5231
Eメール e-seminar@cersj.org

講演概要

自動車の熱管理技術と課題
トヨタ自動車株式会社 性能実験部 熱・流体開発 プロフェッショナルパートナー 松野 孝充

 ハイブリッド車などにおいて,熱マネージメントによるエネルギー効率と熱的快適性の両立に関する技術は,クルマづくりの重要課題に位置付けられる。更なる燃費向上に伴い環境条件や走行条件により車両全体での熱需給にアンバランスが発生し,結果的に期待される燃費向上や快適性が充分でなかったりする。このような課題を解決するため,次世代自動車の開発に際して熱の有効活用,蓄熱・断熱・遮熱・熱輸送等の技術が必要とされている。本講演では,採用技術の紹介を交えながら自動車の熱マネージメントを巡る課題や将来展望,研究開発動向等を紹介する。

排熱利用を可能にするセラミックス熱電発電技術の開発
立研究開発法人産業技術総合研究所 無機機能材料研究部門 上級主任研究員 舟橋 良次

 東日本大震災後,議論の深まるエネルギー問題,それは今に始まったことではなく,膨大な化石燃料の消費を可能にした18世紀の蒸気機関の発明まで遡ると言って良い。現在の熱機関は良質なエネルギーを電気や化学製品などに変換すると同時に,低品質エネルギーを排出しており,有効なエネルギー効率は30%程度しかない。人口増加により,エネルギー効率の低さは,エネルギー問題や環境問題を深刻にしている。エネルギー効率の増加には,質の低いエネルギー,つまり希薄に分散した排熱の有効利用が必須であり,熱電発電はそれを可能にする技術として注目されている。本講演では高温,空気中でも安定な酸化物,シリサイド材料で構成された熱電発電システムの開発について紹介する。

熱マネジメント技術におけるセラミックスの活用
国立大学法人名古屋大学 大学院工学研究科 物質制御工学専攻 教授 北 英紀

 近年、廃熱等の再生可能エネルギーを有効利用するための熱マネジメント技術の開発が進められている。本セミナーではPCM(Phase Change Material)と呼ばれる金属や塩の固液相変態に伴う潜熱蓄熱を利用する技術開発の動向とともに、当方で開発を進めているコアシェル構造蓄熱体の状況について紹介する。併せて、熱マネジメントや省エネに係る研究開発を進める上でのベースとなるエクセルギー解析についても事例を使って説明する。

ナノ多孔質粒子を用いた長寿命真空断熱材の開発
株式会社LIXIL R&D本部 分析・評価センター センター長 井須 紀文

 2050年にCO2総排出量を80%削減することを目指した研究開発を進めている。住宅の省エネには断熱性能の向上が必要であり、ナノ多孔質構造を持つセラミックス粒子を用いた真空断熱材の開発に取組んでいる。ナノ多孔質粒子を用いることで、真空シール材として樹脂複合ポリマーを用いる限り避けられない真空劣化に対するロバスト性が向上し、長期耐久性が非常に高くなる。劣化促進試験の結果、30年後でも空気の半分以下の熱伝導率を維持可能なことが推定できた。また、平均粒径5µm、平均細孔径30nmの粒子を用いた真空断熱材(熱伝導率0.005W/mK)を作成し、北海道と愛知県で断熱リフォームの実証試験を行った結果、冷暖房エネルギーが25~54%削減され、省エネへの有効性が確認できた。

以上