現在では、「狸の置物」の産地として広く親しまれている信楽焼は、奈良時代以来の古窯と伝えられています。中世から近世にかけての記録には、信楽焼が茶道具として用いられたことが記されています。侘び茶の祖といわれる村田珠光は、弟子に宛てた手紙の中で、信楽焼の茶道具を「侘び」に通じる道具であると伝えています。

狸の置物

 

初期の信楽焼は素地土(きじつち)が硬めで、長石粒が溶けた乳白色の斑が見られます。これらを古信楽と言います。この頃の信楽焼は施釉のない焼締陶器ですが、焼成時における窯変で淡黄色、緑色、暗褐色などの自然釉がかかり、土味を増した作品として知られています。  後には灰釉が施釉されるようになりました。さらに、光沢性の乳白釉をかけ、焼成時の焦げや土の赤味と混じった独特の風合いを持つ作品が作られました。  信楽焼の土質は、鉄分が少なく総じて淡い色合いを見せます。一方、鉄成分が多く黒褐色を呈する黒信楽と呼ばれる素地土(きじつち)もあります。

 

信楽大壺

画像提供・所蔵:MOA美術館

 

銘初時雨

画像提供・所蔵:MOA美術館

信楽焼の次代を担う若手従業者の確保と定着のために、共同住宅の「クラフトレジデンス21」を建設し、充実したくらしの設備を完備し、豊かな創造性を育める環境整備を進めています。
 
<情報>
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信楽陶器まつり 7月第4金・土・日

 
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