大堀相馬焼は福島県双葉郡浪江町大堀を中心に焼かれた陶器です。操業は、江戸時代初期の元禄時代に始められ、次第に近隣に伝えられました。旧藩政時代には相馬藩の保護により、寛政年間には半農半陶の者も増え、近隣の村を含めて100基を超す窯により生産され、販路も北海道から関東一円にかけて拡大されました。 明治時代になると、廃藩に伴い藩の援助もなくなり、また交通の発達により他産地との競合も激しくなり、窯元数は少なくなりました。昭和53年に国の伝統的工芸品としても指定を受け、現在23基の窯元が伝統を守りながら、青ひび焼や駒絵に代表されるやきもの生産に従事しています。
青罅焼 走り駒 二重構造茶碗
大堀相馬焼は東北地方の豊かな風土に育まれた、素朴な味わいのある焼き物です。特徴の1つは「青罅焼」(あおひびやき)であり、青磁釉に大きく貫入の入る青罅釉のかかった焼き物で、ひび割れが器全体に拡がって模様になっています。第二の特徴は「走り駒」の絵であり、疾走する馬の絵が手書きで描かれています。第三の特徴は「二重構造を持つ茶碗」であり、熱い湯を入れても持つことのできる構造を持っています。また、入れた湯が冷めにくくなっています。
         
   
二重構造茶碗(断面)   片口カップ   マグカップ
         
毎年、5月のはじめに春の「おおせとまつり」が行われ、会場には各窯元が一堂に会し、手ごろな価格での販売が行われています。また、11月の第二土・日曜日には「登窯まつり」が行われ、町内六つの小学校の六年生の作品と一般公募の作品2000点余を「陶芸の杜おおぼり」の登窯で焼いて展示しています。この様に、地域に根づいた活動も特徴と言えます。
     
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絵付けの様子   陶芸の杜おおぼり
     
 
<情報>
産地の組合等

大堀相馬焼協同組合 ※二本松市小沢工業団地に「陶芸の杜 おおぼり 二本松工房」として再開
大堀民芸会館利用組合

産地の周辺情報

福島県双葉郡浪江町観光協会

イベント

大せとまつり:5月3日〜5日

 
セラミックス博物館
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