公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

検索

menu

第29回エレクトロセラミックスセミナー

第29回エレクトロセラミックスセミナー

リチウムイオン二次電池用セラミックス材料の開発動向

主催 日本セラミックス協会電子材料部会
協賛 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会
日時 平成22年11月26日(金)13時~17時20分
場所 東京大学 先端科学技術研究センター4号館2階 講堂(200号室)(駒場リサーチキャンパス内)

セミナーのねらい

リチウムイオン二次電池は携帯機器用途を主体に普及し、最近は自動車用途や蓄電池用途への展開が注目されています。性能も、高容量化、大電流化、高安全性、長寿命化などと、よりハイレベルのものが求められています。この要求に応えるためも電解質材料や電極材料の工夫が必要になっています。
本セミナーでは、リチウムイオン二次電池に使用されるセラミックス材料を中心に、最新の研究開発・解析動向を紹介いたします。多数のご参加をお待ちします。

プログラム

講演概要は裏ページ参照

13:00~14:00
全固体電池の無機電解質材料
東京工業大学 総合理工学研究科 物質電子化学専攻 教授 菅野 了次
14:00~15:00
薄膜全固体電池の開発動向と界面制御による高性能化
静岡大学 工学部 物質工学科 物質工学専攻 准教授 入山 恭寿
15:00~15:20
休憩
15:20~16:20
リチウムイオン二次電池用正極材料の劣化機構の解析
産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 主幹研究員 辰巳 国昭
16:20~17:20
第一原理計算による正極材の解析
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 中山 将伸
定員 100名
参加費 会員:10,000円(協賛団体会員を含む)、非会員:15,000円。学生会員:2,000円、非学生会員:3,000円。
申込方法 HP(http://www.ceramic.or.jp/bdenshi/)の所定フォーマットからお申し込み下さい。参加費はセミナー当日にお支払い下さい。
申込・問合先 〒169‐0073
東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会 電子材料部会
Tel 03-3362-5231
Eメール e-seminar11@cersj.org
振込先 三菱東京UFJ銀行新宿中央支店(普)5713561(社)日本セラミックス協会電子材料部会。
銀行振込の場合、振込受領書を領収書にかえさせていただきます。
全固体電池の無機電解質材料
東京工業大学 総合理工学研究科 物質電子化学専攻 教授 菅野 了次

 電池を、その構成要素のすべてを固体に置き換えて、固体で形成するデバイスに仕上げることは、電池研究者の夢である。近年の電池への高エネルギー密度化の要望に対応して、安全性を確保するための全固体電池が注目され始めた。全固体電池はバルク型と薄膜型に分類できるが、高エネルギー密度が期待されるバルク型全固体電池の実現の鍵を握るのは固体電解質である。これまで無機材料や高分子材料を舞台に、様々な物質探索がなされてきた。その中でも高いイオン導電性と電気化学的な安定性を兼ね備えた材料が無機系固体電解質である。講演では、その歴史と種類、課題、展望について述べる。

薄膜全固体電池の開発動向と界面制御による高性能化
静岡大学 工学部 物質工学科 准教授 入山 恭寿

 全固体薄膜リチウム二次電池には1000 Wh L-1以上の高い体積エネルギー密度が期待でき、米国を中心にベンチャー企業も立ち上がっています。主にマイクロデバイス用電源として注目されていますが、スケールアップしたものは積層化も可能であり、安全性・信頼性に優れた次世代二次電池の候補ともいえます。本講演では薄膜全固体電池の開発動向とともに、薄膜全固体電池の高性能化への課題となる電極/固体電解質の界面抵抗の低減と安定化に向けて 界面制御によるアプローチから取り組まれた成果を紹介します。

リチウムイオン二次電池用正極材料の劣化機構の解析
産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 主幹研究員 辰巳 国昭

 プラグインハイブリッド車や電気自動車に向けては、エネルギー密度のより高いリチウムイオン電池が求められており、そのための正極材料としてLi(NiCo)O2が有力候補として注目されている。しかし、車載用途で求められる10~15年の耐用年数を実現するには、当該正極材料においても更なる長寿命化が求められている。本発表では、劣化試験によって出力劣化させたLi(NiCo)O2を調べたところ、材料バルクは層状の結晶構造を保ったままほとんど変化していない一方、電解質と接する界面近傍においてはリチウム欠乏型の立方晶相の生成が、電子収量法XANES測定や硬X線光電子分光法によって示された結果を報告する。

第一原理計算による正極材の解析
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 中山 将伸

 計算機を活用した材料解析がハードとソフトの充実によって活発になっています。最近では、実験研究者が直接、材料の構造と機能解析を計算的手法で行うことも珍しくなくなってきました。特にここ10年間は、量子力学に基づいた第一原理計算によるリチウムイオン電池材料への適用事例と成果が多く報告されています。本講演では、リチウムイオン電池正極材料の構造と機能(結晶構造、格子欠陥、イオン伝導、相安定性など)を、第一原理計算によって解析した具体的事例を紹介し、次世代の正極材料開発に計算科学が果たす役割と可能性について議論します。

以上