公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

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セラミック電子材料入門講座

第33回エレクトロセラミックスセミナー

ヘルスケア・生体・医療を変える電子セラミックス・センサ技術

主催 日本セラミックス協会電子材料部会
協賛 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会
日時 平成26年11月28日(金)13時~17時20分
会場 富士通株式会社 武蔵小杉オフィス (野村不動産武蔵小杉ビル内)

セミナーのねらい

日本をはじめ多くの先進国では、高齢化が進み、健康維持・増進技術ならびに医療技術について関心が高まっている。高齢者が安心で快適で豊かな暮らしをおくり、いきいきとした社会を形成していくために、現在の医療・福祉サービスを高度化する様々なテクノロジーや未来の健康を担うテクノロジーが注目されている。今後、より一層の健康・長寿を目指していくために、予防医療としてのセルフケアは、医療機関、医療費の負担低減のためにも重要視されている。健康増進のために、個人個人が自らの健康を自らの力で管理していくことが望まれる。現在、体温、血圧、脈拍などの生体の基本的生体情報は、個々のセンサで計測されている。必要な医療情報は、対象となる病気の種類によって異なるために、より多くの有益な生体情報をより正確に、簡単に、短時間で計測可能なセンサ技術が求められ、これら生体情報を統合して健康状態を判断するための、情報収集ネットワーク化技術も重要視されてきている。センサー・ネットワーク技術はいずれも電子セラミックスと関係が深い。さらに健康寿命を延ばしていくために、生体自身に新しい技術を導入することも試みられており、セラミックスの分野では、電気的機能を用いて制御する生体材料の開発も活発化し始めてきている。以上のように、電子セラミックスがライフイノベーションに向けて貢献できる領域が広がってきており、この現状・今後を展望するセミナーを企画した。

プログラム(敬称略)

13:00~14:00
生体を制御する最先端バイオエレクトロベクトルセラミックスの創製
(東京医科歯科大学
教授 山下 仁大)
14:00~15:00
健康・医療領域における技術開発の現状と将来
(オムロンヘルスケア株式会社 学術技術部 専門技術職
志賀 利一)
15:00~15:20
休憩
15:20~16:20
医用超音波トランスデューサ
(日立アロカメディカル株式会社 第二メディカルシステム技術本部
泉 美喜雄)
16:20~17:20
生活習慣病予防に求められるウェラブルセンサ技術-健康長寿社会を目指して-
(横浜市立大学社会予防医学寄附講座
特任教授 杤久保 修)
定員 100名
参加費 会員10,000円(協賛団体会員含む)、非会員15,000円、
学生会員2,000円、学生非会員3,000円
申込方法 HP(http://www.ceramic.or.jp/bdenshi/)の所定フォーマットからお申し込み下さい。(参加費: セミナー当日支払)
申込・問合先 〒169‐0073 東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会電子材料部会
Tel 03-3362-5231、Eメール e-seminar@cersj.org

講演概要

生体を制御する最先端バイオエレクトロベクトルセラミックスの創製
(東京医科歯科大学 教授 山下 仁大)
特殊なセラミックスはポーリング処理をすると大きな静電エネルギーをためることができる。このエネルギーに基づく化学、物理あるいは生物学的な効果をエレクトロベクトル効果と命名した。我々の研究グループは、エレクトロベクトルセラミックスが有する電場強度や電場分布を材料学的・電気化学的・結晶化学的側面から評価し、分極発生機構の解明、局所分極制御技術の確立を目指している。エレクトロベクトルセラミックスのもつ静電エネルギーを局所的にコントロールすることにより、タンパク質吸着、細菌吸着、培養細胞増殖・接着・分化や骨組織修復に効果があることが判明している。これらの基礎研究をふまえ、事故や病気で失われた骨や関を回復させるために、自分の骨と同じくらいのすぐれた修復力を持つバイオエレクトロベクトルセラミックスの臨床応用を目指している。
健康・医療領域における技術開発の現状と将来
(オムロンヘルスケア株式会社 学術技術部 専門技術職 志賀 利一)
近年、ICTや半導体技術に進化より、各方面から健康・医療領域への事業や技術での参入が活発になっている。 デバイスではいわゆるウエアラブルなデバイスがこれまでの健康・医療とは異なる業種や海外のベンチャーから多く提案されており、一種のブームとなっている。しかしこれを如何に活用するかというアプリケーションに関してはしっかりとしたコンセプトが提示されているとは言えない。今後はどんなデバイスが何のために必要なのかをしっかりと考える必要があると思われる。この領域には医療と関連する独特の土地勘がありこれを理解しないと事業や技術の方向性が議論できない側面がある。本講では、健康・医療をとりまく現状と将来への技術的展望をデバイス・情報また材料などの観点からその概要を紹介する。
医用超音波トランスデューサ
(日立アロカメディカル株式会社 第二メディカルシステム技術本部 泉 美喜雄)
超音波診断装置は、超音波を用いて体内の形状、性状や動態を可視化し、画像情報を診断のために提供する医療機器である。近年の電子走査技術と半導体技術の進化に伴い、超音波診断装置は急速に発展してきている。この装置の非侵襲牲、簡便性やリアルタイム性という利点から、現在では、健診、検査や治療支援などに広く普及している。超音波トランスデューサは、この装置のキーデバイスとして電気エネルギーと超音波エネルギーの相互の変換を担っており、その変換効率や特性の問題は重要であり現在も進化を続けている。また、臨床的応用分野や手技に対応した品種が広く展開されている。本講では、医用超音波トランスデューサの基礎と応用、ならびに新技術の概要を紹介する。
生活習慣病予防に求められるウェラブルセンサ技術 -健康長寿社会を目指して-
(横浜市立大学社会予防医学寄附講座 特任教授 杤久保 修)
我が国は超高齢少子社会を迎え、国民の健康長寿対策は喫緊の課題となっている。そのためには生活習慣病の確実な予防が必要となるが、予防は一人ひとりが行うものであり、健康状態(生活習慣LS・生体情報)を自己評価・自己管理 (self-monitoring/medication) を支援するシステムが効果的と考えられる。そのためには、日常生活においてLSと生体情報をユビキタス的に測定できるウェラブルセンサ技術が必須と思われる。なかでも血圧は、脳卒中とその後の要介護の最大リスクとなるので、まず血圧・減量自己モニター法について述べ、次にメタボリックシンドロームもLSが大きく関与し、LSを自己評価できる腕時計型カロリー・ストレス計について紹介する。その他、耳孔内血流や深部体温の計測法など、健康長寿支援のために必要と考えられる各種センサの医学的必要性やその理想像について述べてみたい。