エレクトロセラミックスセミナー
活動履歴
第36回エレクトロセラミックスセミナー
『人工光合成および半導体光触媒の最近の展開』
主催 | 日本セラミックス協会 電子材料部会,資源・環境関連材料部会 |
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協賛 | 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会、日本ファインセラミックス協会、日本粘土学会、無機マテリアル学会、廃棄物資源循環学会、産業技術総合研究所コンソーシアムClay team、セメント協会(順不同) |
日時 | 平成29年11月30日(木)9時30分~17時20分 |
場所 | 富士通労働組合会館(ユニオンビル) (神奈川県川崎市中原区小杉町3丁目264番3、JR南武線「武蔵小杉駅」北口/東急東横線・目黒線「武蔵小杉駅」南口ともに徒歩3分、JR横須賀線「武蔵小杉駅」南武線連絡通路から徒歩15分) |
セミナーのねらい
光エネルギーを利用して各種の化学反応を促進する光触媒は防汚、抗菌、環境浄化作用を利用して、すでに一部で実用化が進んでいます。光触媒のさらなる高性能化や発展を目指した研究開発が続けられるなかで、人工光合成が近年、大きな注目を浴びるようになりました。太陽光を利用して水素や有機物といった貯蔵可能なエネルギーを生み出す人工光合成は温室効果ガスの排出を低減し、持続可能な社会を実現していくうえで期待の技術になります。本セミナーでは環境・エネルギーの観点で近年ますます重要性を増している光触媒・人工光合成における最近の研究成果に関して、当該分野の専門家がわかりやすく紹介するとともに、これらの分野における各種材料技術について理解を深め、将来のさらなる技術革新のヒントを得ることをねらいとしています。
プログラム(敬称略)
09:30~10:20 |
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人工光合成の現状と展望 公立大学法人首都大学東京 人工光合成研究センター センター長 特任教授 井上 晴夫 |
10:20~11:00 |
水分解および二酸化炭素還元に活性を示す金属酸化物および金属硫化物光触媒の開発 学校法人東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 教授 工藤 昭彦 |
11:00~11:40 |
太陽光水分解反応のための粉末半導体光触媒反応系の開発 国立大学法人東京大学 工学部 化学システム工学科 助教 久富 隆史、教授 堂免 一成 |
11:40~12:10 |
ナノパーティクルデポジションを用いた人工光合成用アノード電極 (株)富士通研究所 今中 佳彦 |
12:10~13:00 |
昼休み |
13:00~13:40 |
酸化物系半導体光触媒および光電極を用いた水素と有用化学品の製造 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 佐山 和弘 |
13:40~14:20 |
可視光応答型光触媒V-CAT®の開発と応用展開 (株)豊田中央研究所 佐伯 周 |
14:20~15:00 |
金属イオンや金属酸化物の抗ウイルス活性について 神奈川県立産業技術総合研究所 砂田 香矢乃 |
15:00~15:20 |
休憩 |
15:20~16:00 |
計算科学を駆使した水分解光触媒の機能解析と材料探索 国立大学法人東京大学 工学部 化学システム工学科 教授 山下 晃一 |
16:00~16:40 |
チタニア基ナノチューブの低次元ナノ複合構造形成とその光物理化学機能 国立大学法人大阪大学 産業科学研究所 教授 関野 徹 |
16:40~17:20 |
人工光合成系構築を目指した二酸化炭素還元光触媒の光機能化 国立大学法人東京工業大学 理学院 化学系 教授 石谷 治 |
定員 | 100名 |
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参加費 | 会員10,000円(協賛団体会員含む)、非会員15,000円、学生会員2,000円、学生非会員3,000円 |
申込方法 | お申込みはこちらから。 (参加費: セミナー当日支払) |
申込・問合先 | 〒169‐0073 東京都新宿区百人町2-22-17 日本セラミックス協会電子材料部会 Tel 03-3362-5231、Eメール e-seminar@cersj.org |
講演概要
人工光合成の現状と展望 公立大学法人首都大学東京 人工光合成研究センター センター長 特任教授 井上 晴夫 |
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水を原料にして可視光エネルギーからエネルギー蓄積型の有用物質をつくる人工光合成の実現が渇望されている。世界と我が国の研究現状は?基礎研究の段階から意識すべき重要な視点。人工光合成の実現には何がボトルネック課題となっているのか?今後の展望とタイムスケールは?今後の取り組み体制は?などについてわかりやすく解説する。 |
水分解および二酸化炭素還元に活性を示す金属酸化物および金属硫化物光触媒の開発 学校法人東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 教授 工藤 昭彦 |
独自の設計指針に基づき、金属酸化物および金属硫化物材料をベースとした数多くの可視光応答性光触媒を開発した。それらの材料を用いることにより、単一型光触媒、Zスキーム型光触媒、光触媒材料を用いた光電極系などの可視光水分解に活性を示す多様な光触媒系を開発した。さらに、Ag助触媒を用いることにより、水を電子源とした二酸化炭素の還元に高活性を示す光触媒を見いだした。 |
太陽光水分解反応のための粉末半導体光触媒反応系の開発 国立大学法人東京大学 工学部 化学システム工学科 助教 久富 隆史、教授 堂免 一成 |
光触媒を用いた太陽光水分解反応は再生可能な水素を製造する技術として広く研究されている。このプロセスを実用的なものとするためには、エネルギー変換効率と拡張性を両立可能な光触媒反応システムを開発する必要がある。演者らは、粉末光触媒が固定化されたシートが純水を水素と酸素に高効率に分解できることができ、かつ拡張性に優れることを見出している。講演では粉末光触媒シートの開発状況や今後の展望について述べる。 |
ナノパーティクルデポジションを用いた人工光合成用アノード電極 (株)富士通研究所 今中 佳彦 |
光励起半導体材料を用いた電気化学的手法での人工光合成反応系におけるエネルギー効率を向上させる目的で、光反応を担うアノード電極部の材料およびデバイスの研究開発を進めている。本研究では、富士通研究所でフレキシブルエレクトロニクス用セラミックキャパシタ膜形成のために開発したナノパーティクルデポジションを人工光合成用アノード電極に適用した例を紹介する。 |
酸化物系半導体光触媒および光電極を用いた水素と有用化学品の製造 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 佐山 和弘 |
パリ協定を背景にして、革新的なCO2排出削減技術の創出が求められている。太陽光エネルギーを利用した光電気化学的な化学薬品製造プロセスが高効率・低電圧で実現できれば大きな省エネ効果と低コスト化が期待できる。水素や酸素よりも付加価値のある化成品を製造できれば経済性は飛躍的に向上できる。本講演では、多孔質の酸化物半導体光電極による水素と過酸化水素等の有用化学品の製造の最新の成果を主に報告する。 |
可視光応答型光触媒V-CAT®の開発と応用展開 (株)豊田中央研究所 佐伯 周 |
窒素ドープ酸化チタンは可視光に応答する光触媒材料であり、V-CAT®として豊田通商(株)から製品化されている。本講演では、窒素ドープ酸化チタンの可視光動作原理、金属担持による性能向上、およびガス分解性、抗菌・抗ウイルス性などの機能性について解説する。併せて、その機能を活かした応用製品例を紹介する。 |
金属イオンや金属酸化物の抗ウイルス活性について 神奈川県立産業技術総合研究所 砂田 香矢乃 |
銅イオンや銀イオンの抗菌活性はよく知られているが、他の金属イオンもふくめ抗ウイルス活性については、あまり報告がみられない。また、酸化チタンをベースとした可視光応答型光触媒の抗ウイルス活性は、調べられているが、他の金属酸化物の抗ウイルス効果についてもあまり知られていない。本セミナーにおいては、種々の金属イオン、金属酸化物の抗ウイルス活性について報告する。 |
計算科学を駆使した水分解光触媒の機能解析と材料探索 国立大学法人東京大学 工学部 化学システム工学科 教授 山下 晃一 |
水分解光触媒半導体材料の電子構造、光物性、光誘起キャリアの緩和過程について、第一原理計算により得られたバンドギャップ、キャリアの特質を、材料の結晶構造や組成と関連付けて理解し、新規光触媒材料探索への理論的指針を議論する。 |
チタニア基ナノチューブの低次元ナノ複合構造形成とその光物理化学機能 国立大学法人大阪大学 産業科学研究所 教授 関野 徹 |
低温溶液化学プロセスで合成されるチタニア基ナノチューブは、低次元ナノ構造と物性の共生により優れた光化学特性などを示す。本講演では合成・基礎物性に加え、優れた環境・エネルギー材料や次世代型センサー材料を志向したチタニアナノチューブの構造・機能チューニング例について、金属ナノ粒子やカーボンナノ材料と多様な低次元ナノ材料との複合化例や表面化学修飾例について示すと共に、材料の構造・光触媒特性や電気的性質を紹介する。 |
人工光合成系構築を目指した二酸化炭素還元光触媒の光機能化 国立大学法人東京工業大学 理学院 化学系 教授 石谷 治 |
本講演では、可視光を幅広く吸収し機能する金属錯体光増感剤と、CO2の高選択的還元を駆動する金属錯体触媒を組み合わせた高効率、高選択的かつ高耐久性のCO2還元光触媒系を設計するための分子設計指針に関して議論する。さらに、光捕集機能とCO2還元機能を合わせ持つメソポーラス有機シリカと金属錯体光触媒の複合系、および強い酸化力を有する半導体光アノードと錯体光触媒を融合化したZ-スキーム型光触媒システムについて紹介する。 |