エレクトロセラミックスセミナー
活動履歴
【参加募集】第42回エレクトロセラミックスセミナー
『持続可能な社会を目指す:環境配慮プロセス』
主催 | 公益社団法人日本セラミックス協会 電子材料部会 |
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共催 | 公益社団法人日本セラミックス協会 エンジニアリングセラミックス部会 |
協賛(予定) | 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会、日本MRS、日本ゾル-ゲル学会 |
日時 | 2024年11月29日(金)13:00-17:00 |
会場 | アーバンネット神田カンファレンス |
参加費 | 会員:8,000円(協賛団体会員含む)、 非会員:12,000円、 学生会員:1,000円、 学生非会員2,000円 |
問合先 | 日本セラミックス協会 電子材料部会 〒370-3347 群馬県高崎市中室田町5607‐2 太陽誘電株式会社 開発研究所 井上 真希 Tel:027-360-8307 E-mail:maki-goto@jty.yuden.co.jp |
セミナーのねらい
持続可能な社会を実現するためには、環境問題への対策や社会的な課題の解決が不可欠です。私たちは環境配慮プロセスを通じて、環境負荷を減らし、地球環境を保護しながら社会の発展を追求していくことが重要です。
本セミナーでは、持続可能な社会を築くために進化している環境配慮プロセスについて、様々な分野の専門家にご講演いただき、参加者が理解を深め、社会問題を意識した研究活動へのきっかけになることを狙いとしています。
プログラム(敬称略)
13:00 ~ 13:45 |
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通電支援技術を利用したセラミックスの高速・低温プロセスに向けて 東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授 吉田英弘 |
13:45 ~ 14:30 |
コールドシンタリングプロセスによる建築構造材料の固化 名古屋工業大学 生命・応用化学 環境セラミックスプログラム 教授 橋本忍 |
14:30 ~ 15:15 |
低温での複合酸化物合成を利用したバルクセラミックス製造 国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料・化学領域 極限機能材料研究部門 固体イオニクス材料グループ 主任研究員 山口祐貴 |
15:15 ~ 15:30 |
休憩 |
15:30 ~ 16:15 |
焼解技術の開発 ~セラミックスの再資源化に向けた試み~ 国立研究開発法人物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター センター長 大橋直樹 |
16:15 ~ 17:00 |
エアロゾルデポジション法による粒子の運動エネルギーを利用した「焼かない」セラミックス膜の形成原理 横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 教授 長谷川誠 |
講演概要
通電支援技術を利用したセラミックスの高速・低温プロセスに向けて
東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授 吉田英弘
近年、酸化物セラミックスの新たな高速・低温焼結技術としてフラッシュ焼結についての研究が盛んに行われてきた。フラッシュ焼結とは、臨界値以上の電場ならびに温度下に置かれた粉末成形体おいて、急激な電気伝導率の上昇ならびに焼結緻密化が起こる現象である。この現象は、特定の電場・温度条件下で酸化物内の原子拡散が加速されることを示唆しており、実際、本技術を応用することにより、酸化物セラミックスの高温変形の促進や多結晶体同士の高速接合、さらに高速・低温での亀裂修復が可能であることが国内外で実証されている。本講演では、フラッシュ焼結を応用した新たな高速・低温プロセスに関する研究動向と将来展望について述べる。
コールドシンタリングプロセスによる建築構造材料の固化
名古屋工業大学 生命・応用化学 環境セラミックスプログラム 教授 橋本忍
炭酸カルシウムは、天然の大理石のように建築構造材料として利用されている。しかしこれまで炭酸カルシウム粉末を、バインダーを介さず直接固化することは困難であった。通常の高温焼結では緻密化する前に熱分解反応を起こすためである。我々は2016年、地殻中の堆積岩の形成機構を模倣した「ジオミメティック法」で、炭酸カルシウムの直接固化に成功した。同じころ、ZnOを水と数百MPaの圧力、さらに300 ℃程度の熱を同時に加えて緻密体を得る「コールドシンタリングプロセス」が発表された。調べると両者はほぼ同じ固化技術であった。本講演では、その後我々が取り組んだ炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムさらにSiCの固化体の作製への応用例を紹介する。
低温での複合酸化物合成を利用したバルクセラミックス製造
国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料・化学領域 極限機能材料研究部門
固体イオニクス材料グループ 主任研究員 山口祐貴
近年、カーボンニュートラルの実現に向けたセラミックス製造の転換が求められている。特にセラミックスは従来1000℃以上で焼成をする必要があるため、室温近傍で製造することで大幅なエネルギー消費量の削減と、CO2排出の抑制が期待できる。これまで非晶質含水酸化物と塩基性の強い金属水酸化物の組み合わせで起こる中和反応を利用した、物質合成とセラミックスバルク製造に成功している。基本的な反応の原理と、緻密プロセスの最適化について、最近の結果を合わせて紹介する。
焼解技術の開発 ~セラミックスの再資源化に向けた試み~
国立研究開発法人物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター
センター長 大橋直樹
機能性セラミックスには希少元素が用いられることが多い一方、その化学耐久性や硬度が高いため、その再資源化では経済合理性が満たされないと考えられがちである。しかし、元素資源は有限であり、地政学的な問題も顕著であり、再資源化の可能性は検討されるべきである。そうした中、講演者らは、近年見出した「焼解現象」を活用したセラミックスの再資源化を検討中である。「焼解」とは、セラミックなどを雰囲気制御された環境で焼成することで、焼結ではなく、破砕が起こる現象を指す。これまでに、講演者らが得てきた焼解現象に関する知見を報告し、セラミックスの再資源化技術としての展開可能性について議論する。
エアロゾルデポジション法による粒子の運動エネルギーを利用した「焼かない」セラミックス膜の形成原理
横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 教授 長谷川誠
エアロゾルデポジション(AD)法は、従来の「高温焼結によってセラミックスを形成する」手法とは全く異なる新規の「焼かない」手法です。室温にてセラミックス粒子を基板に衝突させることで、数ミクロンから数十ミクロン程度の厚さとなる原料粒子と同一組成・結晶構造を有する結晶質な膜が形成します。この手法は室温にて粒子の運動エネルギーを利用してセラミックス膜を形成することから、エネルギー消費を大きく抑制する環境に配慮した新規の材料創生法として持続可能な社会の構築に必須のプロセス技術だと考えられます。本講演では、AD法における装置の構成や成膜の特徴、原理を述べるとともに、本技術の最新動向や将来展望についてご紹介します。