公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

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エレクトロセラミックスセミナー

第38回エレクトロセラミックスセミナー

『超音波周辺技術とその展開』

主催 公益社団法人日本セラミックス協会 電子材料部会
共催 公益社団法人日本セラミックス協会 エンジニアリングセラミックス部会
協賛 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会、日本金属学会、精密工学会、日本音響学会、日本機械学会
日時 2019年10月11日(金)10:00~16:30
会場 富士通労働会館(ユニオンビル)
(神奈川県川崎市中原区小杉町3丁目264番3、JR南武線「武蔵小杉駅」北口/東急東横線・目黒線「武蔵小杉駅」南口ともに徒歩3分、JR横須賀線「武蔵小杉駅」南武線連絡通路から徒歩15分)

セミナーのねらい

超音波は、広義には人が聞くこと以外の目的で利用される音を意味し、さまざまな産業分野で利用されています。古くは軍事用途を主流として発展してきましたが、近年では医療分野をはじめとして、次世代自動車、先進的な加工技術、種々の産業機器に適用が進んでいます。超音波は、多くの場合、電子セラミックスの代表ともいえる圧電材料を用いて発生させており、材料の高性能化に伴ってますます応用分野も拡がり、進展が加速するものと考えられます。本セミナーでは、これらに貢献する材料やデバイス技術およびその活用をご専門とする先生方にご講演いただき,参加者が本分野における先端の技術開発と将来展望について理解を深めることをねらいとしています。

プログラム(敬称略)

10:00~10:45
非鉛圧電セラミックスのハイパワー特性と超音波モータへの応用
(足利大学 工学部 創成工学科 教授 土信田 豊)
10:45~11:30
超音波音場の定量評価技術
(本多電子株式会社 研究部 チームリーダー 岡田 長也)
11:30~12:15
自動車市場向け超音波センサへの取り組み
(株式会社村田製作所 センサ事業部商品開発1部 シニアマネージャー 小谷 将人)
12:15~13:15
休憩
13:15~14:00
超音波振動加工の原理、現象と応用事例紹介
(長岡技術科学大学 工学研究科 機械創造工学専攻 准教授 磯部 浩已)
14:00~14:45
超音波映像装置による欠陥検出 ―高分解能測定に向けて―
(株式会社日立パワーソリューションズ デバイスソリューション部 主任技師 大野 茂)
14:45~15:00
休憩
15:00~15:45
強力空中超音波の発生と工学的利用
(日本大学 理工学部 電気工学科 教授 三浦 光)
15:45~16:30
医用超音波イメージングの最近の話題
(東北大学大学院 医工学研究科 教授 西條 芳文)
定員 60名
参加費 会員10,000円(協賛団体会員含む)、非会員15,000円、学生会員2,000円、学生非会員3,000円(セミナー当日支払い)
申込方法 こちらからお申し込み下さい。
問合先 〒169‐0073 東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会電子材料部会
Tel 03-3362-5231、Eメール e-seminar@cersj.org

講演概要

非鉛圧電セラミックスのハイパワー特性と超音波モータへの応用
(足利大学 工学部 創成工学科 教授 土信田 豊)
圧電デバイスは、出力密度が高く、超音波応用としてアクチュエータ・モータなど、ロボット、医療工学の分野で広く研究されている。その材料は、代替品がないとして鉛を60wt%以上含むPZTセラミックスが用いられ、環境に優しい非鉛化が求められている。非鉛圧電セラミックスは、実用駆動状況下でPZTセラミックスよりも優れた側面が報告されている。それは、PZTセラミックスに比べて機械的非線形性が抑えられ発熱し難く、大きな振動速度で駆動できる良好なハイパワー特性を有することである。本講演では、非鉛圧電セラミックスのハイパワー特性と、その応用として試作した超音波モータの特性について紹介する。
超音波音場の定量評価技術
(本多電子株式会社 研究部 チームリーダー 岡田 長也)
超音波洗浄機や高密度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound)治療装置に用いる超音波トランスデューサの音響出力の定量評価を試みた。超音波プロセスの安定化、生体への安全性の観点から超音波エネルギーの定量評価が求められるが、強力超音波では、水中で生じた音響キャビテーションバブルやMPaを超える高音圧により、音響出力を計測することがむつかしい。高音圧でも計測可能な堅牢ハイドロホンの開発を含め、強力超音波音場の定量評価への取り組みについて紹介する。
自動車市場向け超音波センサへの取り組み
(株式会社村田製作所 センサ事業部商品開発1部 シニアマネージャー 小谷 将人)
近年、超音波センサを利用した周囲検知(距離検知、状態検知、有無検知など)の用途が各所で広がっています。中でも自動車向けであるADASや自動駐車システム関連での用途について、世界中で注目され市場が広がってきています。今回、そのような自動車市場向け用途を中心に、超音波センサの種類やアプリケーション、市場要求と技術トレンドと、それらに対する村田製作所の取り組みに関して報告します。
超音波振動加工の原理、現象と応用事例紹介
(長岡技術科学大学 工学研究科 機械創造工学専攻 准教授 磯部 浩已)
機械加工での除去加工においては、切削工具や研削砥石を超音波振動させることで、加工特性(加工抵抗、加工品質、バリ抑制)が向上することが知られている。本研究では、超音波振動加工の装置開発や応用展開を行っているなかで、その原理がいまだに明らかになっていない点に着目した。超音波振動の動的(20kHz以上)かつ微細(ミクロンオーダ)な切削機構を、高速度撮影や光弾性法撮影により可視化して、実験的にそれらの特性を明らかにする方法を紹介する。そして、耐熱合金への小径ドリル加工や石英ガラスの加工など、いくつかの応用事例も紹介する。
超音波映像装置による欠陥検出 ―高分解能測定に向けて―
(株式会社日立パワーソリューションズ デバイスソリューション部 主任技師 大野 茂)
電子機器の高性能化、自動車の運転支援システムの高度化等の進展に伴い、超音波非破壊検査のニーズが増している。超音波検査は電子部品等の非破壊検査用途で使用されている。講演では超音波検査の原理、他の非破壊検査手法との比較、測定事例の紹介を行う。その上で、検出対象がますます微細化、複雑化していく状況に鑑み、超音波検査の高分解能化に対する取り組みについて述べる。
強力空中超音波の発生と工学的利用
(日本大学 理工学部 電気工学科 教授 三浦 光)
空気中に強力な超音波を発生できる音源はあまりない。私共はたわみ振動する振動板を用いることによって、強力な超音波を発生する音源について開発を行っている。これまでに開発した音源はいくつかのタイプがある。例えば、閉じられた空間内に超音波を放射して極めて強力な定在波音場を形成する音源や、比較的遠方の一方向に強力な超音波を放射する音源、比較的小型でありながら近傍の一方向に強力な超音波を放射する音源などである。また、その工学的な利用法に、超音波による物質の乾燥、超音波による煙霧質の凝集、超音波による解凍食品の解凍などがある。更に、研究室で開発した超音波複合振動源による異種金属の接合などについても紹介する。
医用超音波イメージングの最近の話題
(東北大学大学院 医工学研究科 教授 西條 芳文)
超音波の医療応用が開始されて70年近く経過しましたが、臨床診断に欠かせないモダリティーとして重用されているとともに、技術的にもますます発展を遂げています。本セミナーでは、2次元アレイプローブによる3次元・4次元画像、並列ビーム処理による高フレームレート画像を応用した剪断波弾性画像および2次元血流ベクトル、高周波数プローブによる高解像度画像、AIの応用による心臓の自動セグメンテーション、強力短パルス光との共創による光音響イメージングなどについて解説します。