公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

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エレクトロセラミックスセミナー

第37回エレクトロセラミックスセミナー

『材料技術で拓く、ポータブル・ウェアラブル医療』

主催 日本セラミックス協会 電子材料部会,生体関連材料部会
協賛(予定) 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会、日本バイオマテリアル学会、日本歯科理工学会、高分子学会、日本金属学会(順不同)
日時 平成30年10月12日(金)9時30分~17時00分
場所 富士通労働組合会館(ユニオンビル)
(神奈川県川崎市中原区小杉町3丁目264番3、JR南武線「武蔵小杉駅」北口/東急東横線・目黒線「武蔵小杉駅」南口ともに徒歩3分、JR横須賀線「武蔵小杉駅」南武線連絡通路から徒歩15分)

セミナーのねらい

高齢化とエレクトロニクスが進んだ日本は、科学技術を活用した医療・ヘルスケアの新しい製品・サービスにより、世界で最も先進的な高齢化社会のモデルとなり得ます。健康維持や医療の形は大病院への集中型からITを活用した分散型へと変化しつつあり、更にIoTが叫ばれる近年においてはポータブル・ウェアラブルな医療・ヘルスケアに注目が集まっています。予防医療、出張/在宅医療、見守り、簡易診断、生体情報モニタリング、生体機能アシストなどのアプリケーションが代表的ですが、いずれにも高度なセンシングデバイスが不可欠です。ナノマテリアルを利用した独創的な医療技術も続々と誕生しています。本セミナーではこれらに貢献する材料やデバイス技術およびその活用をご専門とする先生方にご講演いただき、参加者が本分野における先端の技術開発と将来展望について理解を深め、来たる社会のあるべき医療・ヘルスケアの姿を考える指針を獲得することをねらいとしています。

プログラム(敬称略)

09:30~10:15
ポータブル・ウエアラブル医療分野の技術動向
(オムロンヘルスケア(株) 技術開発統轄部 R&Dフェロー 志賀 利一)
10:15~11:00
圧電脈波センサを活用したヘルスケア製品への取り組み
(太陽誘電(株)開発研究所 機能デバイス開発部 課長 尾下 順二)
11:00~11:10
休憩
11:10~11:55
バイオセンサの技術動向と、高性能酵素およびトランスデューサ技術の開発
(国立研究開発法人産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門 ナノバイオ材料応用グループ
グループ長 平塚 淳典)
11:55~12:45
昼休み
12:45~13:30
皮膚貫通型デバイスの現状と感染制御を目指した複合ナノ材料の開発
(近畿大学 生物理工学部医用工学科 教授 古薗 勉)
13:30~14:15
機能性磁性ナノ粒子の開発と医療分野への応用
(九州大学 大学院工学研究院 准教授 井藤 彰)
14:15~14:30
休憩
14:30~15:15
ポータブル医療ヘルスケア機器への取り組み
((株)村田製作所 本社 医療機器販売部 エキスパート 伊佐 孝彦)
15:15~16:00
機能素材hitoe®を用いたウェアラブル生体モニタリングシステムの開発と応用展開
(NTT物性科学基礎研究所 機能物質科学研究部 分子生体機能研究グループ
主幹研究員/グループリーダ 中島 寛)
16:00~16:10
休憩
16:10~16:55
非侵襲バイオ計測のためのキャビタス(窩腔)センシング
ソフトコンタクトレンズ型&マウスガード型センサとその生体計測応用
(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授 三林 浩二)
定員 60名
参加費 会員10,000円(協賛団体会員含む)、非会員15,000円、学生会員2,000円、学生非会員3,000円
申込方法 こちらからお申し込み下さい。 (参加費: セミナー当日支払)
問合先 〒169‐0073 東京都新宿区百人町2-22-17
日本セラミックス協会電子材料部会
Tel 03-3362-5231、Eメール e-seminar@cersj.org

講演概要

ポータブル・ウエアラブル医療分野の技術動向
(オムロンヘルスケア(株) 技術開発統轄部 R&Dフェロー 志賀 利一)
近年、少子高齢化にともなう医療費や介護負担の増大が大きな社会問題となっているのは周知の通りである。それにともない如何に効率的、経済的に医療・ヘルスケアを実施していくかが課題となりその解決のための技術的な課題も多く存在する。在宅での生体モニタリング・ウエアラブルセンサなどセンシング技術はその代表的なものだが、通信、省電力、小型化、また在宅での精度・信頼性の確保、間違いなく高齢者でも簡単に使えるユーザビリティ、情報の意味理解など必要な技術は多岐にわたる。本講ではまず本分野の全体像を示し、課題を分解、整理するとともにその課題解決のために必要な技術の現状さらに将来への展望を議論したい。
圧電脈波センサを活用したヘルスケア製品への取り組み
(太陽誘電(株)開発研究所 機能デバイス開発部 課長 尾下 順二)
太陽誘電株式会社のセラミック材料技術をベースに高感度な圧電脈波センサの開発を行った。近年、日本では高齢化社会を迎えるにあたり高齢者の医療費増加や介護費用増加による財政負担問題が取り出されています。国としても健康寿命の延伸を目指して取り組んでおり、高齢になっても健康であることが望まれています。当社では生体情報をセンシングし心身状態の可視化を行うことで、高齢者に限らず病気になる前の未病検知について研究開発を行っています。圧電脈波センサのヘルスケア製品への取り組みを紹介する。
バイオセンサの技術動向と、高性能酵素およびトランスデューサ技術の開発
(国立研究開発法人産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門 ナノバイオ材料応用グループ
グループ長 平塚 淳典)
我々のグループでは、有機・無機ナノチューブやナノ粒子等のナノ物質と、酵素や糖鎖等のバイオ物質を組み合わせ、生体や環境の機能改善や計測のためのナノバイオ複合材料やデバイス開発を行っています。特に生体や環境のモニタリング、診断、治療へ向けた、センサデバイス、薬物輸送システム、医用材料等の開発を行っており、これら材料を利用した実用化システムの開発も行っています。
本セミナーでは、バイオセンサ、特に最大市場である血糖値センサ技術の技術動向に加え、現在我々が取り組んでいる、バイオセンサやバイオ燃料電池のコアエレメントとなる、遺伝子組換え技術を用いた高性能酵素の開発、およびバイオ物質へのデバイス実装化に必須となる、実用化を指向した、カーボンナノチューブと酵素を融合したトランスデューサ技術の開発をご紹介します。
皮膚貫通型デバイスの現状と感染制御を目指した複合ナノ材料の開発
(近畿大学 生物理工学部医用工学科 教授 古薗 勉)
生物学的安全性試験では、皮膚を貫通するデバイスは「体内と体外を連結する医療機器」としてカテゴリー化されており、接触時間の長さによっては「体内植込み医療機器」と同じ試験項目が要求される。その医療機器もしくはパーツとして、血管内留置型カテーテル、腹膜透析カテーテルや補助人工心臓(VAD)ドライブラインなどがある。医療機器の種類によって感染発生率に違いがあるが、たとえばVADの場合、術後1年で44%(植込み型)および68%(体外設置型)と感染症の発生頻度が極めて高く、感染制御が急務となっている。本セミナーでは、これまで我々が開発してきた感染防止デバイスや感染制御型ナノ粒子について概説する。
機能性磁性ナノ粒子の開発と医療分野への応用
(九州大学 大学院工学研究院 准教授 井藤 彰)
講演者らは、酸化鉄Fe3O4のマグネタイトの10 nm程のナノ粒子を様々なバイオマテリアルで修飾した機能性磁性ナノ粒子を開発してきた。磁性ナノ粒子を表面にカチオニックリポソームでコートした機能性磁性ナノ粒子を作製し、担癌マウスに投与して、マウス体外から交流磁場を照射したところ、腫瘍を特異的に加温することができた。この腫瘍特異的加温により、43℃以上にガン組織を加温して殺傷するガン温熱療法を開発した。一方、機能性磁性ナノ粒子を再生医療の標的細胞に結合することで磁力を用いた細胞操作技術を開発し、再生医療の各プロセスの開発に応用している。本講演では、講演者らが行ってきた磁性ナノ粒子を用いたガン治療技術および再生医療技術について述べる。
ポータブル医療ヘルスケア機器への取り組み
((株)村田製作所 本社 医療機器販売部 エキスパート 伊佐 孝彦)
近年、少子高齢化、医療費の増大、生活習慣病の増加が社会問題になっています。これらの対策に対するアプローチとして、村田製作所は自社が保有する電子部品の小型化/高性能化/無線技術という切り口で、ポータブル且つ使いやすい医療機器の開発を進めています。これにより、従来の病院における診断/治療のみならず、未病段階からのスクリーニングや、在宅医療に役立てることを検討しています。本講演では、このような医療機器に役立つセンサーや無線技術の応用に関し報告します。
機能素材hitoe®を用いたウェアラブル生体モニタリングシステムの開発と応用展開
(NTT物性科学基礎研究所 機能物質科学研究部 分子生体機能研究グループ
主幹研究員/グループリーダ 中島 寛)
機能素材hitoe®は導電性高分子PEDOT-PSSとナノファイバーとの複合材料であり、布帛型のウェアラブル型生体電極として、心拍数・心電波形・筋電位などのバイタルデータの取得を目的に開発された。hitoe®を搭載したウェアを着用すれば、長時間負担なく生体情報を取得できるため、疾病の早期発見や生活習慣の改善といった医療分野をはじめ、人々の健康状態の見守り、運動時・睡眠時のデータの蓄積と可視化など、多くの分野での活用が期待されている。本講演では、hitoe®開発の背景となる導電性高分子-繊維複合材料について概説し、さらに最近のhitoe®バイタルモニタリング実証実験の実施例を紹介する。
非侵襲バイオ計測のためのキャビタス(窩腔)センシング
ソフトコンタクトレンズ型&マウスガード型センサとその生体計測応用
(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授 三林 浩二)
予防医療・先制医療において「簡便かつ迅速な早期診断」そして「疾病状態の継続的な評価」が行えるセンシング技術が求められています。本講演では、身体の窩腔に着脱可能なバイオ計測デバイスである「キャビタスセンサ」について、材料技術・MEMS技術をもとに開発した「涙液嚢への装着が可能なソフトコンタクトレンズ型バイオセンサ」「通信機能を有するマウスガード型センサ」を詳解します。また近年、注目を集めている生体ガス(呼気・皮膚ガス)計測のための「生化学式ガスセンサ(バイオスニファ)」についても説明を行い、上記センサによる生体計測応用を紹介すると共に、将来の非侵襲バイオ計測の可能性と有用性について解説します。