公益社団法人 日本セラミックス協会 電子材料部会

検索

menu

エレクトロセラミックスセミナー

【参加募集】第41回エレクトロセラミックスセミナー

『ウィルスに立ち向かうセラミックス関連技術:抗ウィルス・ウィルス検出の最前線』

主催 公益社団法人日本セラミックス協会 電子材料部会
共催 公益社団法人日本セラミックス協会 生体関連材料会
協賛(予定) 日本化学会、応用物理学会、電気化学会、日本材料科学会、粉体粉末冶金協会、電気学会、電子情報通信学会、電子セラミック・プロセス研究会、日本MRS、日本ゾル-ゲル学会
日時 2023年11月29日(水)13:00-17:00
会場 アーバンネット神田カンファレンス
参加費 会員:8,000円(協賛団体会員含む)、
非会員:12,000円、
学生会員:1,000円、
学生非会員2,000円
問合先 日本セラミックス協会 電子材料部会
(世話人)
〒305-0044 茨城県つくば市並木1-1
物質・材料研究機構 電子・光機能材料センター
清水 荘雄
Tel:029-860-4943
E-mail:SHIMIZU.Takao@nims.go.jp

お申込みはこちら

*上記フォームから申し込みください。

セミナーのねらい

2020年からのいわゆる「コロナ禍」においては、我々の日常生活に大きな制約がかかり、そして経済活動に大きなダメージを与えました。現在、このような影響から脱しつつあるものの、新たな変異株、さらには全く未知のウィルスの登場・まん延によって、再び生活が脅かされる可能性も否定できません。
本セミナーでは、ウィルスからの脅威に立ち向かうためのセラミックス関連技術について、様々な分野の先生方にご講演いただき、参加者が理解を深め、社会問題を意識した研究活動へのきっかけになることをねらいとしています。

講師(敬称略)

13:00 ~ 13:45
有機/無機ナノ粒子の光・電気化学特性に着目した微生物検出
大阪公立大学 大学院工学研究科 教授 椎木弘
13:45 ~ 14:30
抗ウイルスコーティング技術の開発と展望
就実大学 薬学部 准教授 山田陽一
14:30 ~ 15:15
ウイルス検出に向けたグラフェンFETバイオセンサ
村田製作所 技術・事業開発本部 マネージャー 牛場 翔太
15:15 ~ 15:30
休憩
15:30 ~ 16:15
体外診断薬用磁性微粒子の創製
ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 主任研究員 橋本雅美
16:15 ~ 17:00
ウィルスを捕捉するポリマー/セラミックス材料の研究
東京工業大学 物質理工学院 教授 生駒俊之

講演概要

有機/無機ナノ粒子の光・電気化学特性に着目した微生物検出
大阪公立大学 大学院工学研究科 教授 椎木弘

新型コロナウイルス感染症により私たちの生活は一変したように感じていますが,実際には,地球上には様々なウイルスや微生物に基づいた感染症が多く存在しており,私たちはその脅威にさらされています。ウイルスや微生物などの見えない敵は脅威であり,私たちの不安を増幅させます。このような敵から身を守ったり,敵を退治したりするためには,まずは見えない敵を見える化することが重要です。これらの敵の姿を明らかにするための新しい検査法や計測法の開発について,私たちの取り組みを紹介します。特に,金属ナノ粒子/ポリマー複合体を光学/電気化学標識として用いた菌種の識別や定量,さらに生菌の活性を見える化する手法などの詳細について解説します。

抗ウイルスコーティング技術の開発と展望
就実大学 薬学部 准教授 山田陽一

人類史を振り返ると、ウイルス感染症は度々、世界中で問題となっており、今後もその傾向は続くと予想される。そのため、ウイルス感染への対策は常に取り組むべき課題と考えられる。感染症対策には様々な種類があるが、我々は、不特定の人々が接触する手すりやドアノブ等を介した接触感染対策に注目している。抗ウイルス効果を有する薬剤を耐久性の高い多孔質コーティングへ含侵させることで、抗ウイルス効果の即時性と持続性を併せ持つ感染症対策コーティングの開発を目指している。大学や研究所だけでなく、企業や自治体との産学官連携をとおして、本コーティングの社会実装・普及を目指し、人々の健康・安全に役立てたいと考えている。

ウイルス検出に向けたグラフェンFETバイオセンサ
株式会社村田製作所 技術・事業開発本部 マネージャー 牛場 翔太

2次元材料である単層グラフェンを用いた電界効果トランジスタ型のバイオセンサ(GFET)は、グラフェンの高キャリア移動度と高比表面積によって、タンパク質の電荷に対して高感度に応答することが期待される。本講演では、大阪大学らと共同で取り組んでいるウイルス検出に向けたGFETバイオセンサに関する最新の開発状況を紹介する。特に、表面電荷変調型GFETバイオセンサを中心に報告する。このバイオセンサでは、正帯電した化合物を修飾することで、グラフェンの負の表面電荷を相殺し、高感度化した。

体外診断薬用磁性微粒子の創製
ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 主任研究員 橋本雅美

化学発光酵素免疫法を使用した体外診断用医薬品(診断薬)の検出感度を10倍にすると、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に匹敵する感度となり、偽陰性率が低下し、PCRよりも早い迅速検査が期待される。本研究では、検出感度を上昇させるために、診断薬で用いられる「磁性微粒子」に注力し、磁気特性(飽和磁化)および抗原吸着能が市販品を上回ることを目的とし、診断薬への応用を指向した開発研究を行っている。具体的には、①超常磁性で磁気応答性の速い微粒子の合成、②磁性微粒子に多量の抗体を特異的に吸着、③これらの組み合わせによる抗体を特異的に吸着させた超常磁性微粒子への抗原吸着を行うことで、抗原吸着能の高い診断薬の開発の3点の実現を目的に研究を行っている。本講演では、①と②に関する成果を紹介する。

ウィルスを捕捉するポリマー/セラミックス材料の研究
東京工業大学 物質理工学院 教授 生駒俊之

ウィルス感染は,世界的に見て健康に重大な問題を引き起こし,高い死亡率を示すことがある.感染はウィルスと宿主細胞との相互作用により,「ウィルスのライフサイクル」と呼ばれる六つのステップ,接着,侵入,脱被覆,遺伝子発現と複製,組立,放出に分類される.ウィルスの細胞への接着や侵入といった初期段階の相互作用を阻害することは,抗ウィルス療法において重要な戦略である.本講演では,長期間にわたる抗菌性を示す銀と水酸アパタイト複合体の開発や,感染源となるウィルスを効果的に除去可能な新たな抗ウィルス療法を目指したホウ素含有リン酸ポリマーを修飾した水酸アパタイトの開発について最先端の研究を紹介する.